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SAO−銀ノ月−
第八十話
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だ警戒心をありありと見せたシノンが、身長の関係からこちらを見上げてくる。その姿は何やら、懐かない猫、といった印象を抱かせた。

「もう一度聞くけど、あの踊り子との関係は?」

「さっき知り合っただけだ。……むしろ、こんなに質問責めされる理由を聞き返したい」

 あの踊り子とは、聞き返す間もなくリーベだろう。彼女の秘密に少しでも迫れるかと聞き返したが、今までこちらを問い詰めていたシノンの反応は淡白だった。たった一言だけ、冷ややかな表情で言ってのけたのみ。

「ならいいわ。忠告しておくけど、長生きしたいなら、あいつと関わるのは止めときなさい」

 ……と。シノンが余計な手間を食った、とばかりに時計を確認している間に、黒髪の少女――のような格好をしたキリトが近づいてくると、シノンに聞こえないように話しかけてきた。

「シノンの様子もおかしいし、お前も気になってるみたいだし……何者なんだ、さっきの」

「俺が聞きたい。……ただ、勘だが……事件に関わってる、かもしれない」

 《SAO失敗者》と語る少女。朗らかに笑顔で踊る陽気さから、時折一瞬だけ見せる殺気に近いモノ。何の根拠もない、まさしく勘というべきものだったけれども、何か彼女には引っかかっていた。もしかすると、今回の死銃事件にも関係しているのではないかと。

「なっ――」

「どうしたの?」

 驚愕したキリトがさらに言葉を続けるより早く、俺たちがひそひそ話をしていることを疑問に思ったシノンが、きょとんとした表情でこちらを見つめてきた。シノンの前でこれ以上話すわけにもいかず、キリトは瞬時に顔を愛想笑いに切り替える。……まさかまた、話しかけていたプレイヤーは妹でした、などという展開ではあるまい。

「せ、世間話だよ。ただの」

「……ま、何でもいいけど。そろそろ開始時刻だから、装備を整えなきゃね」

 そう言うと、シノンは《総督府》の中に迷いなく入っていき、俺とキリトはすごすごとその後ろを追う。中は近未来的な外装に違わない場所で、所狭しとプレイヤーたちがひしめいていた。酒を持った見物客や、賭けのような券を売っている者たちが多数を占めていたが、彼らは確実にそこにいた。

 思い思いの銃を持った、ある種の特別な雰囲気を持った者たち。……このBoBに参加するプレイヤーたちだろう。鋭い眼光で会場を見渡している者もいれば、賭けに混じって自らを喧伝するもの、愛銃のメンテナンスを行う者など様々だ。……あの目立つ踊り子の姿は見当たらない。

 この中に《死銃》――ないし、それらに狙われている者がいるとすれば。

「ここね」

 そしてシノンの案内により、昔作られたものをそのまま利用しているような更衣室に到着する。……なるほど、ここで戦闘の準備をするのだろう。シ
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