第八十話
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を作る。さらに反応に困る俺の腕を掴んだかと思うと、何故か悲しそうに目を細めて泣き真似を始めだした。
「うう……予選は準優勝者でも本戦に出場出来るから、ショウキくんは気を落とさないでね……?」
「なんで負ける前提なんだよ」
よよよ、と泣き真似を止めないリーベの頭に軽くチョップを加えると、ニッカリと笑って俺から手を離す。しかしリーベと同じブロックということは、彼女と戦う可能性もある、というのは確かだ。そもそも初心者である自分が言えたことではないが、この踊り子がそこまでの強者にはまるで見えないのだが――
「だって……ショウキくん。ウチがいるから準優勝だし?」
「……大した自信だな」
――それでも、こうして彼女が時折見せる殺気は鋭い。いつもその気配は一瞬でなくなってしまうが、先の《SAO失敗者》の件も含めて、彼女にはまだ秘密が多い。……恐らくは、この予選で相対することになるだろう。
……と、そこで気配を感じて振り向いた。先程から何度か背後から気配を感じるも、そこには誰も何者もいない。もちろん通行人がいることはあるが、そういった気配ではなく、何かこちらを見ているかのような。
「…………」
何が楽しいのか、口笛を伴奏に踊り始めたリーベを後目に、俺は何者もいないはずの空間に一歩踏みだした。そして、そのままそこにある何かを掴むように、ガントレットを装備し手を伸ば――
――すよりも先に、俺の目の前に三輪のバイクが急停車する。危うく弾かれかけて飛び退くと、三輪のバイクに乗っていた二人の少女と目があった。
「あっ、すいません急いで……」
「あ、シノンちゃんだ! おーい!」
運転手をしていた黒髪の少女がこちらに謝ってくるのと同時に、後ろにいたリーベが俺を押しのけて少女たちに近づいていく。とても嬉しげに近寄っていったリーベだったが、《シノン》と呼ばれた水色の髪の少女からは、明確な敵意が噴出されていた。
「それ以上近づかないで」
シノンと呼ばれた水色の少女は、運転手をしていた黒髪の少女を守るようにリーベの前に立ち、最大限の警戒を示していた。……友人か何かかと思っていたが、どうやらそんな良好な関係ではないらしい。ただ、リーベの方はシノンと呼ばれた少女のそんな対応を前にしても、まったく笑顔を崩さずにいつも通りだったが。
「もー、いつになったらシノンちゃんはデレてくれるのかな? ま、いっけどさ」
「え、えっと……シノンさん……?」
「あなたは黙ってて」
腰に手を当ててムスッとした表情をしてみせるが、シノンと呼ばれた少女からの警戒は変わらない。守られている黒髪の少女も、俺と同様この状況に目を白黒させていた。一瞬だけ、その膠着状態が続くと……リーベはクルリと回って、B
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