第36話 全ての奇跡には必ず理由がある
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んだよ!?」
俺は焦りながらそこから先の言葉を
言わせないように大声で言った。
「‥‥‥そうか‥‥‥‥‥‥そうだよな‥‥‥‥‥‥‥」
ホークアイは弱々しい声でつぶやいた。
心なしか少し残念さを感じたような気がした。
「と、ところで、どうしてこんな所に
人が入れるぐらいの空洞があったんだろうな?」
俺は話を方向転換した。
「それならもうすでに分かってる」
その続きを話す前にホークアイは
大きく呼吸をして気を静めた。
「‥‥‥‥‥‥"鎧虫"だよ」
それを聞いた瞬間、俺の背筋に寒気が走った。
まさか、そんな馬鹿な。そう現実を否定したかった。
「何でそんなことが分かるんだよ?」
俺は一応、"鎧虫"に見つかることを心配して
比較的小さな声でホークアイに訊いた。
「簡単さ。実際に俺たちが崩れた岩に潰されないでかつ
酸素もあるぐらいの巨大な空洞を作れる生物はそれぐらいしかない。
モグラとかそう言うのじゃ限界がある」
それを聞いた上では決定打に欠けるものがあった。
なぜ、生物の仕業である事が前提で話しているかだ。
さっきの地下水脈が枯れた可能性だって一応ゼロではないからだ。
それについて俺が問うと、ホークアイは笑った。
「いやぁ、だから簡単だって」
いや、笑いというよりは苦笑いに近かった。
暗闇の中、ホークアイは自分の足元を指さした。
そんな彼の向こうにある原因の存在に俺は気付いた。
「‥‥‥‥幼虫‥‥‥‥‥か」
"鎧人"である俺の目は可視光線の範囲が
人間よりもやや広いので、ある程度の暗さなら
意外とよく見えているのだ。
ホークアイの足元に岩に潰れた幼虫がいた。
大きさは1mはあるかもしれない。
なかなか大きく育っていたようだ。
これでホークアイが空洞の原因に気付いた理由が分かった。
実物が足元にいるのだから推理なんかよりも簡単な事だろう。
「は‥‥‥はは‥‥‥‥‥ヤベェな」
俺も彼につられて苦笑いした。
"鎧虫"の幼虫がここにいると言う事は
その親が必ずいるはずなのだ。
つまりそれは‥‥‥‥そういうことなのだ。
口に出す必要もない。というか出したくもない。
「どう‥‥‥‥するんだ?」
俺はホークアイに訊いた。
「どうするも何も‥‥‥‥‥なぁ?」
今の俺は重症で動けないし、ホークアイは普通の人間。
どう考えても、"鎧虫"の成虫に勝てるはずがない。
しかも、これはあくまで希望的な観測で
もしかしたら奥に複数体いるかもしれない。
不安要素しか出てこない今の状況では
さすがのホークアイもお手上げなのだろう。
いまだ苦笑いのままでいる。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥ッッ!」
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