第四章
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「あの娘は」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「やっぱり女の子もな」
「大阪っちゅうんやな」
「そや、大阪の女の子は愛嬌があるわ」
それがいいとだ、左千夫は真矢に言った。
「けど東京はな」
「東京は女の子もやな」
「何かな、人情がな」
「感じられんか」
「そう思うわ」
「かもな、まああの娘はな」
今二人の目の前にいるその女子高生はというのだ。
「可愛いな」
「洒落ててな」
「そやろ」
「それは認めるわ」
左千夫は真矢に目を細めさせて応えた、そして。
そのまま女の子jの前を通って雷門を去ろうとした時にだ、その二人の前女の子から見て右手にだった。
小さな男のこが二人笑いながら駆けて来た、地元の子供達であろうか雷門の前を普通に駆けている、そのうちの一人が。
こけた、そして泣き出していると。
左千夫と真矢はだ、顔を見合わせてこう言い合った。
「これはな」
「ああ、助けたろか」
「あの子泣いてるし」
「そやったらな」
こう二人で言う、そして。
その男の子を助け起こして泣き止ませようとしたがそれよりもずっと早くだった。
女子高生の娘が動いてだ、そしてだった。
その男の子を助け起こしてだ、こう言ったのだった。
「大丈夫?」
「うん」
男の子は泣きながらも自分の目線の高さで屈んでそのすぐ傍から優しい声をかけてくれる女の子に応えた。
「お姉ちゃん有り難う」
「怪我してない?」
女の子は男の子のお礼儀の言葉を聞いてからこのことも尋ねた。
「足とか肘は」
「ええと」
男の子は女の子の問いを受けて身体のあちこちを見てまた答えた。
「何もないよ」
「そう、ならいいわ」
「まだ少し痛いけれど」
「大丈夫なの?」
「もうすぐ痛くなくなるよ」
男の子は泣きながらも笑顔で答えた。
「起こしてくれて有り難うね」
「何もなくてよかったわ」
優しく言う女の子だった、そして。
こけた男の子ともう一人の男の子を笑顔で手を振って見送ってからだ、そのうえで暫くして来た彼氏と思われる背の高い同じ歳位の制服の少年には明るい笑顔で言った。
「じゃあ今からね」
「待ったかな」
「今来たところよ」
笑顔で応えるだけだった。
「丁渡よかったわ」
「本当に?」
「まあそう言われるとね」
少し照れ臭そうに笑う女の子だった。
「ちょっと待ったけれど」
「そうか、御免ね」
「いいわ、じゃあこれからね」
「ああ、もんじゃ食べに行こうか」
「それからね」
こう笑顔で話してだ、そしてだった。
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