5部分:第五章
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ではないか」
実はいつも仕事前にはこうした話を同業者の間でしているのだった。互いに戦場で敵味方になった時になあなあで終わらせる為だ。丁度先のジュリアーノとロレンツォの様にだ。
「全員がこっちにつくようにだ」
「イタリア人の団結だな」
ロレンツォもまた楽しそうに述べる。
「侵略者フランスに対するな」
「そうだ、今度は大義ある戦いだ」
ジュリアーノもこううそぶく。
「だからだ。お金はたんまりもらうぞ」
「そうだな。そして命を守って」
「楽しくやるとするか」
「よし、ではそろそろ」
ロレンツォはここで二人のパスタとワインを見る。もうどちらも残り少ない。
「行くとするか」
「うむ」
最後にこう言い合って席を立った。その時にジュリアーノは先の戦いで教皇軍において敵を討てと言っていた枢機卿に出会った。彼は悪びれずに一礼してこう言うのだった。
「暫く厄介になりますんで」
「頼みますよ」
「ええ、お支払いは」
「神は忠実な者への慈悲は忘れません」
これが返答だった。全てはビジネスだった。戦いも何もかもが。ルネサンス期の話である。今となっては想像もつかない話であるがこの通りであった。
傭兵 完
2008・9・15
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