第六章
[8]前話
「参加されますか」
「いえ、空気が薄くて」
その薄さに身体が慣れていないというのだ。
「踊るまでは」
「出来ませんか」
「それは控えさせて頂きます、ただ」
「ただ?」
「ポイイェーラは買わせてもらいます」
その服はというのだ。
「とても奇麗ですから」
「ご自身で着られますか」
「そうします、彼氏いますが」
それでもとだ、明日香はその相手のことは少し苦笑いでこうファンに話した。
「実は一九〇あるラガーマンで」
「ラグビーをされてるんですか」
「はい、ですから女装が似合わないので」
「その方にはですね」
「プレゼントしません、彼には別のものをプレゼントします」
「ではそちらのお土産もですね」
「買います」
こう言ってだ、そしてだった。
明日香は祭りを見て、そこで出される村の食事と酒を楽しみながら土産ものも買った。そしてリマに帰ってそこでファンに別れる時に言った。
「またこの国に来ます」
「お待ちしていますよ」
「はい、チバイ村にも行きたいですね」
「この季節にですね」
「今度はその彼氏を連れてきます」
その大柄なラガーマンの彼をというのだ。
「出来れば新婚旅行で」
「それは何よりですね」
「はい、ただ女装だけはです」
「その方にですね」
「それだけはさせません」
こう笑顔でファンに言うのだった。
「似合わないので」
「ではそれを抜きにして」
「今度は新婚旅行で来させてもらいます」
「お待ちしています」
ファンは明日香に笑顔で応えた、そうしてお互いに再会を願って別れた。明日香はポイイェーラ、村の若者達も着ていたそれと彼への土産ものを手にしつつ日本に戻った。ペルーの高原の村で見た素晴らしいものを思いだしながら。
ポイイェーラ 完
2015・6・29
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