第五章
[8]前話 [2]次話
「そうしたことをここでもですか」
「驚かれると思ったのですが」
「日本では普通ではないですがあるので」
「驚かれないですか」
「はい、そこまではです」
至らないとだ、明日香は答えた。
「そうです」
「そうですか、それは意外ですが」
「これからはじまるお祭りはですね」
「彼等も参加します」
女装した村の若者達もというのだ。
「あのスカートはポイイェーラといいまして」
「皆着ていますね」
「この村の服です、普通のインディオのスカートより長いです」
そのロングスカートを見ながらの言葉だ。
「インディオのスカートは普通は膝丈ですが」
「ロングスカートですね」
「そうした独特のものです」
「この村独自の刺繍が入っていて」
「そうです、しかもお祭りなので」
「派手な刺繍が入っていますね」
「普通のポイイェーラよりも」
飾られているというのである。
「そうなっています」
「そうですか、ですが」
「ですが?」
「女装自体には驚いてないですが」
それでもとだ、明日香はファンに言うのだった。
「どうして女装しますか?」
「求婚の為らしいです」
「結婚の申し出、ですか」
「はい、何でも娘達を守る親の目を女装して誤魔化す為に」
つまり悪い虫と思われない為というのだ、こうした親の目はペルーの高い場所にあるこの村でも同じだというのだ。
「それで、です」
「女装して女の子に化けて」
「それで求婚したのがはじまりだとか」
「そうなのですか」
「それが村の若者の間に広まってです」
「そして残って」
「今はこうしています」
村の祭りの伝統になったというのだ。
「そう言われています」
「そうだったのですか」
「最初にはじめたその若い人が誰かは知りません」
ファンもそこまでは知らなかった。
「ですがそれでも」
「それでもですね」
「今では村のこのお祭りの伝統になっています」
「そうですか、では」
「これからそのお祭りがはじまります」
ファンは明日香ににこやかな顔で話した。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ