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傭兵
4部分:第四章
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の左端を歪めさせていた。
「そこのところはな」
「一緒か」
「司祭様がお供えを独占しようとして皇帝陛下がそれに文句を言われた」
「それでそれが許せなくて一戦」
「しかしお金がない」
 ジュリアーノはパスタを飲み込みついでにワインもまた飲んでから面白おかしく語ってみせる。当時の神聖ローマ帝国は領邦国家であったうえに教会の力が強く皇帝の力はさして強いとは言えなかったのだ。ドイツが中央集権的国家になった時期はナチスが政権を握った第三帝国の時だけだ。全体主義国家とはすべからく中央集権国家だからドイツのそうした地域性を消すことができたのだ。
「結局はそれで」
「中と外から教会にしてやられたってわけか」
「そういうことさ。教会は強かった」
 ジュリアーノはまた楽しそうに言う。
「そしてわし等に気前よくお金を下さった」
「おいおい、お金ではないぞ」
 ロレンツォも笑ってジュリアーノに言う。
「これはお恵みだ」
「お恵みか」
「そう、神が下されたお恵みだ」
 心にもないことを平気な顔で言っていた。ロレンツォだけでなくジュリアーノも顔だけは神妙にはしてみせている。あくまで顔だけであるが。
「神の代理人がその使徒の働きに下されたものだからな」
「そうそう、そうだったな」
「そうだ。このパスタも」
 まだパスタはある。その量の多さもまた楽しんでいるのだ。

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