第二章
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「コンドルだけではありませんよ」
「下書きなしの刺繍のロングスカートですか」
「よくご存知ですね」
明日香の今の言葉にはファンも驚いて返した。
「あの服もですか」
「調べてきました」
「そうですか、ただ今はです」
「今は?」
「この季節はもっと面白いものが見られますよ」
「えっ、コンドルと服以外にも」
「まあ服ですが」
ファンはにこりと笑って明日香に返した。
「ここから先は内緒です」
「実際に村に行ってからですか」
「ここで全部言ったら面白くないですよね」
「旅の楽しみが減るということですね」
「ガイドとしてそれはしません」
客の楽しみを減らすことはというのだ。
「ですから」
「そこは、ですね」
「はい、その時に」
「わかりました、ではこれから」
「はい、お願いします」
そのままだった、ファンは明日香をガイドすることにした、事前に日本の旅行会社から客が来ることを聞いていて契約していたので出発の予定は出来ていた。
そしてだ、リマからだった。
そのチバイ村に向かった、リマも標高は高いが。
何しろ標高三六六〇メートルだ、どんどん上に登っていって。
谷も越えてだ、明日香は案内をするファンに言った。
「いや、これは」
「中々大変ですね」
「はい、地上絵やマチュピチュに行く時よりも」
「そうなんですよ、私もこれまで何度かチバイ村に行きましたが」
「こんな感じで」
「大変なんですよ」
「空気が薄いですね」
標高が高いだけにだ、明日香は山道をがたがたと車で進むその中で運転する彼に言った。
「車の中でもわかります」
「そうなんですよ、昔なんかは」
「歩いてですね」
「村まで行ってたんですよ」
「想像するだけで大変ですね」
「ですからここにインカ帝国があっても」
それでもというのだ。
「スペインもインカ帝国は滅ぼしましたが」
「行けなかった場所もあったんですね」
「黄金も見付からなかったですしね」
インカ帝国の皇帝が何処かに隠したという財宝だ、ピサロに差し出した黄金は帝国が持っていたそれのほんの一部だったという。
「ですから」
「それで、ですか」
「はい、見付からなかった場所もあって」
「そうした場所なんですね」
「そうです」
「それでチバイ村は」
明日香は助手席からファンに言った。
「そのペルーの中でもですね」
「そうです、特にです」
「高い場所にあるんですね」
「そう言っていいです」
「車大丈夫ですか?」
「何とか」
これがファンの返事だった。
「行けますよ」
「何とかですか」
「はい、そうです」
「それはまた凄いですね」
「ですかこれまでペルーは」
「旅行に行っていますし調べてきたので」
それでというのだ。
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