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傭兵
3部分:第三章
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「そうらしいですよ」
 兵士の一人がロレンツォに声をかけてきた。
「どうやら」
「ああ、そうなのか」
 完全に他人事のロレンツォだった。彼は肉やらパンやらを美味そうに食いながらワインを楽しんでいる。これでもかという程ワインをがぶ飲みしている。
「じゃあ食うぞ」
「ええ」
「飯も報酬のうちだぞ」
 彼は兵士達に告げる。
「だからだ。皆どんどん食えよ」
「はい、わかってますよ」
「報酬はきっちりともらいますよ」
「その為に来てるんですからね」
 彼等はそのまま酒と食べ物を楽しみ昼寝に入った。見ればジュリアーノもそうだった。彼はワインで真っ赤になった顔でそのまま休息に入った。
「隊長、何かまた進撃しろって言っていますよ」
「そりゃドイツ人だけだろ?」
 部下の兵士の言葉にこう返すだけだった。
「わし等じゃない。気にするな」
「そうですね。じゃあ」
「シェスタだ」
「はい」
 彼等もまた昼寝に入る。呆れたことに皇帝軍のイタリア人指揮官もそれに入る。しかし誰も相手にしない。それでやっと昼寝から起きればのろのろと動き出しまた適当に戦いだす。何しろ酒が入っているので午前よりもさらに動きは悪い。しかも夕方になったらまた指示より先に戦場から帰るのであった。
「じゃあ帰るか」
「ええ。仕事は今日で終わりですね」
「何か明日もあるらしいですよ」
「金は?」
 ジュリアーノは部下に最初に尋ねるのだった。
「金は払ってくれるのか?」
「後払いらしいですよ」
「じゃあこのまま帰るぞ」
 それを聞いてぷい、と顔を背けるジュリアーノだった。
「後払い程あてにならないものはないからな」
「ええ、確かに」
「向こうもできるだけ金はケチりたいんだよ」
「せこいですね、皇帝の癖に」
「ドイツ人は所詮そんなものだ」
 自分達のことは完全に棚にあげての言葉だ。

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