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ドリトル先生と森の狼達
第一幕その十
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「怖い生きものが。日本にも」
「だから注意してね」
「あと鹿もいるよね」
「野生のね」
 ダブダブが自分の背中に乗っているホワイティに応えました。
「いるわよ」
「そうだよね」
「あと鼬に狐と狸」
「そうした生きものもいて」
 チープサイドの一家はこうした生きもの達のことをお話しました。
「結構色々いるんだね」
「そこにも」
「僕の仲間もいるね」
「絶対にいるわね」
 トートーにです、ポリネシアが答えました。
「日本の梟がね」
「そうだね」
「まあ僕はいないね」
「絶対にね」
 オシツオサレツは身体の前後の頭で自分自身でお話をするのでした。
「アフリカでも僅かしかいないし」
「日本でもね」
「じゃあ皆行こう」
 先生はその皆にです、また言いました。
「トミーと王子にも声をかけてね」
「いざ奈良へ」
「その森の中に」
 皆その先生に笑顔で応えました、かくして先生一行はそろそろ行きたいと思っていた旅行、それも念願の奈良に行くのでした。
 そのお誘いを受けてです、トミーは自宅で笑顔で言いました。
「それはいいですね」
「行くね」
「はい、是非」
 これがトミーの返事でした。
「行きましょう」
「それじゃあね」
「それとですけれど」
 ここでトミーは先生に言いました。
「お宿はどうなりますか?」
「ああ、そのことだね」
「奈良に泊まりますよね」
「やっぱりそうなるね」
「だとすると何処に」
「ううん、奈良のホテルと言っても」
 先生はトミーの質問にです、ちゃぶ台を前にして腕を組んで難しいお顔になりました。
 そのうえで、です。トミーにいうのでした。
「北に集中しているからね」
「観光地は北にありますからね」
「その殆どがね」
「人も産業も北に集中していますから」
「奈良県はね」
「けれど今回は行くのは南ですよね」
「そうだよ」
「だとしますと」
「さて、どうしたものかな」
 先生は腕を組んだまま再び言いました。
「南のお宿に泊まるにしても」
「お宿自体が少ないです」
「あと広いよ、調べる範囲が」
 このことか先生から言いました。
「奈良県の南部、和歌山県との境とはいっても」
「そうですよね」
「さて、何処になるか」
「十津川辺りですか?」
 トミーは奈良県のその場所の名前を出しました。
「泊まるとすれば」
「うん、吉野でも北過ぎるからね」
 今回の調査の宿泊先にするのならです。
「だからよくないよ」
「吉野でもですね」
「吉野でも相当に南だけれどね」 
 その奈良県ではです。
「奈良県南部の中心地と言っていいけれど」
「その吉野でもまだ南部の入口ですよね」
「奈良県全体から見ればね」
「じゃあやっぱり十津川の辺りですね」
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