暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校〜黒衣の人間主神〜
九校戦編〈下〉
九校戦六日目(4)×女子アイス・ピラーズ・ブレイク決勝戦深雪対雫
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じく第一高校北山雫さん』

二人の選手名を言うと、湧き上がった声で一杯となるが、各選手が上がると同時に静まり返っていた。フィールドを挟んで対峙する二人の少女。片や、目に清冽な白の単衣に緋の袴。片や、目に涼しい水色の振袖。深雪は黒髪を縛っておらず、雫は襷をかけていないので、これから対決するのは本気を出しますよと言っていい程だった。

長い黒髪と振袖の袂が夏の微風になびいていたが、それを締め付けるような静けさが、二人の少女から放たれていた。純粋に魔法のみで競うこの競技に相応しいが、熱狂を鎮めている冷徹な戦う意志を持っていた。始まりを予告するライトが鳴り、赤から青になった瞬間に互いの魔法が発動した。

「Aランク魔法である『氷炎地獄(インフェルノ)』だから、北山さんの氷柱は熱波でやられていそうだけど。そうでもなさそうね」

「『情報強化』で氷柱自体の温度改変を阻止しているようだが、今回はいつも使うデバイスなのか?蒼太さん」

「ええそうですよ。今回は『共振破壊』のバリエーションで破壊したいと言ってきたので、一真様はオリジナルデバイスではなく競技用のデバイスにしたと」

熱波が雫の陣地を襲うが、エリア全域を加熱する『氷炎地獄(インフェルノ)』の熱波を『情報強化』で阻止中である。深雪の陣地を地鳴りが襲うが、その震動は共振呼ぶ前に鎮圧される。自陣全域の振動と運動を抑えるエリア魔法が、地表・地下にも魔力を及ぼしている。二人は互いの魔法をブロックしながら、事象改変の手を敵の氷柱(ピラー)に伸ばしていた。玄人受けする専門家を唸らせていたけど、今の所互角の攻防に見えた。

「雫は本来の戦い方でやるからと、リフレクター無しでの『共振破壊』しているが果たして深雪に届くのかな?」

『恐らく本来の戦い方だと、深雪様の勝利になるかと』

ゼロがそう言っていたが、まさにそうなっている。

「(届かない!流石は深雪、一真さんの忠告はホントのようだった!)」

雫の『共振破壊』は敵陣から完全にブロックされているが、対して深雪の熱波は雫の陣地を覆っている。対抗魔法『情報強化』は、魔法による対象物の情報書き換えを阻止するもので、物理的エネルギーに変換された魔法影響は排除できない。魔法による氷柱自体の加熱は阻止しても、加熱された空気により氷柱が融け出すのは時間の問題となる。

「(だったら、とっておきのを使ってやる!)」

雫は汎用型デバイスをはめた左腕を、右の袖口に突っ込んだ。引き抜いた手に握ったのは、拳銃形態の特化型デバイス。それは一真が雫に持たせた切り札であり、万が一破壊出来なかった場合はこれを使えとわざわざシルバー・モデルシリーズを雫専用に、調整しといたブツだった。銃口を敵陣最前列の氷柱(ピラー)へ向けて、雫は左手でデバイスの引き金を引い
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