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猫の憂鬱
第4章
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其の気持ちを知っている、嫌なのだ、盲愛する妹が龍太郎に惚れている事実が、けれど、本物を見せてあげたいな、と云う気持ちもある。其の葛藤で、曖昧なコンタクトしか送らない。
其れに龍太郎への遠慮もある。
龍太郎の女嫌いを十二分に把握するからこそ、会わせたところで龍太郎にも迷惑が掛かる、然し、見せてもやりたい、此の妹を。
そうというのも、此の妹、物凄く宮崎あおいに似ているのだ。
そして、女嫌いの龍太郎が唯一好きな女が、宮崎あおいだったりする。
此れは偶然に知った。電話を弄る龍太郎の横から、何気無く覗いたロック画面が其の女優だった、意外過ぎ、覗いていたと云う事実を教えてしまった。

――え?御前、宮崎あおい好きなの?
――一寸、何で覗くんですか。
――好きで覗いたんじゃない、見えたんだ。え?好きなの?
――はい。好きな顔ではあります。
――御前、ホモじゃなかったのか。

そりゃあんただろう、と云う目付きは放置した。
井上に聞くと、そうねぇ、好きなんじゃね?可愛いとは云ってた。
そんな龍太郎に、此の妹を見せたら如何なるのか、見てみたかった。

――女嫌いの男と、男性恐怖症の女、か。小説にありそうだな。閣下に執筆して頂いたら如何だろう。
――其れ、平安時代の小説っぽいよ。
――簾越しに愛を囁き合うんだな。
――そして和歌と云うメールを送り合うんですね。

相談した課長に笑いながら云われた。因みに木島の父親は小説家で、閣下、というのは愛称である。
妹は、男性恐怖症になる前から課長を知っていたので、連絡を取り合う事が出来る。其の時課長は、文面を女っぽくし、龍太郎の写真を勝手に送っているのだ、平然堂々と龍太郎を盗撮をする。何で龍太ばっか撮るの?と井上に聞かれても無視である。井上と一緒に映った写真を一度送った事あるのだが、横の方、綾野剛に似てらっしゃいますわね、と妹が珍しく返事をした、何時も一方的に写真を受け取るだけに意外な反応だった。

――綾野剛好きなの?
――いいえ。ワタクシは玉木宏が好きですわ。ああ云うパーツパーツが大きい御顔が好きなんですの。

玉木宏とは又高レベルである。
聞いた木島は、パーツ一つ一つが主張する顔が好きなら、課長の顔は儘では無いか、思い、妹に確認すると、流石木島の妹と云おうか、我が妹と云おうか、大好きですわよ、とあっさり答えた。其れで何故龍太郎に向いたのか、答えは簡単だった、課長が既婚者だからだ。
そして龍太郎の声が、此の妹を暴走させる原因でもある。ストーカー気質なのだ、此の兄妹は、血の繋がりは無いが。
妹は、二次元が大好きである、其の中で、声優の緑川光というのが一番好きなのだが、龍太郎の声がそっくりなのだ、其の声優に。笑った声等、本人か!?と聞きたい程似ている。御前の声、其の声優なんだろう
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