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猫の憂鬱
第4章
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儘無言で自室に入り、ガチャリと鍵を閉めた。
ネェ。
猫を抱いた儘兄の後ろ姿を見ていた妹は声に顔を向け、静かに猫を下ろした。むにゃむにゃと食事をする小さな頭を撫で、膝を抱えた。
「お兄様はね。」
話す相手も居ない妹は、聞こえているか判らない猫に妹は話し始めた。
「ワタクシの事が邪魔なのよ。」
小さく笑い、食事の終わった猫を抱いた。ソファに座り、もう何度も見たアニメを視界に入れ、独り言を続けた。
頭がおかしくなりそうだ。
自室で本を読む木島は、リビングから聞こえ始めた妹の声に顔を上げた。
毎日毎日、こうして妹の独り言を聞く。内容は毎回同じで、お兄様は自分が嫌い、自分が邪魔、けれど木島の悪口は無い、只管妹自身の心の鬱積を毎日聞いた。そんな鬱積は見てもいないテレビに云うのではなく、カウンセラーにでも云って欲しかった。
「ワタクシが居なくなれば、お兄様も幸せなのに。」
「時恵(ときえ)。」
「はい?」
部屋から出た木島は妹の横に座り、テレビに向いた儘手を握った。
「御前も飽きないね、毎日同じ事云って。」
「ええ、飽きませんわ。」
「本郷に、会いたかったんだろう?」
「はい。」
唯々映像を流すだけのテレビを眺めた。
「お兄様、きちんと仰って?」
「いや、上がる?って聞いただけ。」
ぷくんと口元が膨らみ、少し機嫌を損ねたようだった。
「お兄様って、本当、役に立ちませんわね。」
「御免。」
テレビを消した妹は其の儘猫と一緒に立ち上がり、自分の部屋に入った。自分の部屋にもテレビはあるのに、妹は態々リビングでアニメを見る。其処になんの意味があるのか判らない。
ネェ。
「ん?」
妹の部屋に入った筈の猫が木島に向いていた。
「何?如何したの?」
聞いてはみたが猫は何も云わず、太い尾を揺らし妹の部屋に戻った。
妹が分裂したみたいだと木島は思い、散々散らかされた部屋に溜息を吐いた。
猫と一緒にベッドに横たわる妹は、何の役に立つのか不明だが、木島に持たされている携帯電話の画像フォルダーを開いた。カチカチと、好きな二次元のキャラクターの中に、ポツンと其の顔がある。
「本郷さん…」
兄の電話に残る写真。抑に何故、木島の携帯電話に敵視する龍太郎の写真があるのか不明だが、あったのだ。木島自身は、課長を撮るつもりでシャッターを切ったのだが、うっかり横切った龍太郎が映った。然も具合良く、井上の方…此方に顔が向いた為、正面が映ったのだ。消せば良いもの、其の時珍しく龍太郎が笑っており、脅迫に使えるかも、と其の儘にしていた。其の携帯電話を妹が今使用している。
一目惚れだった。
会った事も無い、其れも三次元の男に妹は惚れた、芸能人を好きになる感覚と同じで龍太郎に惚れた。実際本物を見たら熱が冷めるかも知れないが、初めてだった。
木島も妹の
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