時代と出会い
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
がいい男って書かれてるのは、
通った女の人には、心が離れてからも援助をやめなかったからなんだって。
公家の女の人って御簾の中から出ないから収入は通ってくる男の人に頼りきりだったの」
「男の心変わりが死活問題になるのかっ!・・・すごい時代だな」
裏子は嫌そうに言う。男の人の存在が生き死にに関わるなんて女性には生きにくいかも。
「うん、だよね。ねえ、2百年くらい前のヨーロッパってどんな感じだったの?」
「さあ、どうだったかな、よく覚えてないね」
あれ?視線そらされた?聞いちゃダメだったかな?
「じゃあ日本に来たのはいつごろ?」
「僕が日本に来たのはちょうど平成になった頃だったかな。ドイツのベルリンの壁崩壊の年でもあるね」
東西のドイツ統合の時かー。
テレビで見たことあるけど、普通の一般人って感じの人が壁壊してて不思議だったな。
「アタシが来たのは20世紀最後の年だ」
わ、ちょうど私が生まれた年だ!
「ワイは大正元年1912年やな。もう百年以上前になるなー」
へー、裏子が生まれる前には日本に来てたんだ。
大正って聞くと大正ロマンとか着物に袴の女学生のイメージがあるなぁ。
「日本に来て、そのままお店開いたの?」
「いや、いろいろあってワイは放浪の旅に出ててな。日本についたときにぐうぜん浪速の商人に出会ったんや」
「僕にボコられて傷心の旅に出てた時だね」
「うっさいわ! で、そのおっちゃんがええ人でなぁ。しばらくその店で丁稚ちゅうかマスコットやっててん。
それがきっかけで商売に興味持ってな。それから競馬で万馬券当てて店開いたんや!
天国のおっちゃん見てるかー!ワイはやったでー!」
開店資金がギャンブルっていうのがなんというか…だめだめな感じだね。
「じゃあ、最初はんごー1人でお店してたの?」
んごーは普段、カウンターの上にずっといる。つまり働いてないのだ。
そのんごーがどうやって経営してたのか、すごく気になる。
「最初は雑貨屋してたんやけどあんまりやってな、旅亭に改装したんや」
「旅亭?」
「いわゆる貸し宿っちゅうやつやな。それが大当たりしてな」
うーん・・・お客様の部屋を掃除してるんごーが想像できない。
「それ、いつ頃のことだい?」
「1985年頃やな」
「バブル直前じゃないか」
苦笑する飛白の言葉になっとく。それじゃ儲かって当然ってことだよね。
バブルのときってすごく景気がよかったって聞いたもん。
「それからどうしてたの?」
「ちょうどバブル崩壊頃に飛白が店に押しかけてきてな、無理やり店員になりよったんやけど…
コイツはいるだけで働かんし、店の売り上げは落ちるしでなぁー…
そのうち飽きたとか飛白が
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ