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魔法科高校の神童生
Episode38:終幕
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人の世界も、九十九の世界も、俺にとっては全部日常だ。


 光景が光と共に切り替わる。


 地獄を、見た。

 肉片を喰らう鬼を見た。
 色素を失った真っ白い髪を鮮血に濡らし、血走った黒い目は一心不乱に食物へ向けられている。


 不意に、こちらの存在に気づいたのか、鬼は食事の手を止め????



☆★☆★



「ッ、!!」

 最悪な目覚めだった。
 着せられていた病院着は汗でビショビショになって肌に張り付いている。

 窓から外を見る。枕元に置いてあった自身の携帯端末のカレンダーを見ると、どうやら自分は丸一日眠ってしまっていたようだ。恐らく、今日予定されていたミラージ・バットとモノリス・コードの予選は既に終わっているだろう。
 約束の時までそれ程時間がない。今起きれたのは、あの悪夢に感謝するべきか。

 とにかく、自室に戻らなければ。奴には聞きたいことが新しくできたんだ。早く準備を整えて、万全の態勢で臨まなければならない。

「くっ…!」

 腹部と、頭部に鈍痛。体中に包帯が巻かれているから、どうやら至る所が骨折しているようだ。魔法で繋がっている状態だが、結局それは応急処置にしかならない。本来ならば安静にしていなければならないのだろうが。

「ま、そんなこと言ってられないよね」

 重い体を引き摺って、ドアの取っ手に手を掛けようとした時、不意に向こうから扉が開かれた。

「あ……」

 手を差し出したような間抜けな姿を見て、来客者は呆れたような表情を浮かべた。

「なにをしているんですか、九十九さん。まだ安静にしていなければならないんですよ」

 非難の眼差しに、思わず身を竦める。しかし今は鈴音の発するプレッシャーに屈している場合ではないのだ。

「すみません、少し????」

「????そんなに殺気立って……紫道聖一を追うつもりですか?」

 目を見開く。
 なんだってこの人は、こうも核心を突いてくるのだろうか。

「つい三十分前に、病室から紫道聖一が抜け出したという報せが各校の首脳陣に伝えられました。もしやと思い来てみましたが?????」

 歯噛みする。
 どうする。鈴音一人ならば押し退けて行くことはできるが、それだと紫道を追うことを肯定することになる。なるべくなら、『隼人』としての日常に波風を立てたくはない。


「行くのなら、早く行った方がいいのでは?」

「????え?」

 一瞬、彼女の言った意味が分からなかった。反射的に少し高い位置にある先輩の顔を見上げる。

「傷だらけになってまで、あなたには譲れないものがあるのでしょう?あなたが行くと言うのなら、私に止める権利はありません」

「市原、先輩????
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