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魔法科高校の神童生
Episode38:終幕
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…分かりました。行きます」

「決まりね。善は急げ、行くわよリンちゃん!」

 立ち上がるよりも早く、真由美は鈴音の袖を掴んでズンズンと進んでいく。若干引き摺られているが、そこはもういつもの事だと諦めているのだろう。






 九十九隼人の怪我は、魔法という治療法が確立した現代に於いても完全治癒には一週間以上かかる程重症と診断された。
 しかしまあ、その隼人を相手取っていた紫道聖一も全身火傷に複数箇所の骨折という、中々の重症ぶりだから、おあいこという所か。

 ともあれ、積み重なった疲労により意識を失った隼人は現在病室で寝かされていた。勿論、紫道とは別室の一人部屋である。

「お邪魔しまーす…」

「……失礼します」

 隼人が眠る飾り気のない病室を見回しながら、真由美と鈴音が入ってきた。

「……魘されているようね」

「ええ……」

 包帯でグルグル巻きにされている隼人を見て、医学に精通している訳でもない二人の目でも彼の容体はかなり重いものだというのはすぐに分かった。
 それに加えて、何か嫌な夢でも見ているのだろうか。彼の表情は苦痛に歪み、汗は玉のように噴き出ている。

「無理もないわね……あれ以上やっていたら、命に関わっていたんだもの」

「……そう、ですね」

 真由美の言葉に頷きつつ、鈴音は隼人の額の汗を拭う。今更ながらに、あの試合での隼人と紫道の戦いは凄惨なものだったと思う。どちらかが命を落としても可笑しくはない程に。
 そんな危険な戦いを、運営は疎か、誰も止めようとしなかったのは、只々、彼らの気迫に呑まれていたからに違いない。

 ????あなたは、何故こんなになるまで、戦い続けたのですか

 言葉に出さず、そう問い掛ける。
 
 隼人と紫道の間に、何らかの因縁があることは予想できていた。それが、鈴音の知っているものとは別である事も、ある程度は知っていた。

 それでも尚、問い掛けずにはいられない。
 『空虚』であったはずのあなたが、命を懸ける程に譲れないものは一体何なのかと。

「今のあなたは、あの時の少年ではないのですね」

 思わず漏れた呟きを、しかし真由美は聞かないことにした。



☆★☆★



 地獄を見た。

 飛び散った赤い液体に、撒き散らされた肉片。今の今までヒトだったソレは、今は只の肉の塊に成り下がっている。

 そんな光景を見せつけられて、俺は動くことはなかった。動かすことができなかった、ではなく、動かなかった。
 最早見慣れてしまっていたらしい。こんな地獄でも、ずっとそこで生きていればそこはもう日常だ。

 それを壊れているとは思わない。
 だって今の俺とて、その地獄は見慣れている。
 隼
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