Episode38:終幕
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「お返し、だ」
叩き込まれたのは風の鉄槌。しかし先程の一撃とは一線を画す尋常ならざる威力。
「かッ…はっ……!?」
肋骨が砕ける音を聞きながら、口から空気が吐き出される。明らかなレギュレーション違反の攻撃だが、しかし大会委員は上空の戦いを見てはいなかった。
故に、試合が止まることはない。すぐ様意識を痛みから離して、隼人は追撃に備える。
「ほら、足掻け、よ」
空から降る無色の砲弾を、サイオンの波動を見切って躱す。
戦況は、明らかに不利であった。
☆★☆★
走る。
降り注ぐ無色の砲弾を躱すべくジグザグに迂回しながら、ただ一点を目指してひた走る。
この圧倒的不利を覆す一手。それになり得るモノへ手を伸ばす。
「ぐぁ…ッ!」
掠った。途端、膨張した空気に体を押される。
なす術もなく吹き飛ぶ、ふりをして地面を転がる。あと、一歩。
「う、ォおおお!」
目的のソレを拾い上げて、そして一気に下段から振り上げる。
途轍もない重さが腕に伸し掛かるが、雷帝による筋力強化で無理矢理振り抜いた。
「なん、だと…!?」
果たして。
腕の動きと同期して突如飛来した小刃が、遥か上空にいた紫道を打ち据えた。
「レオ!」
「おうよ!」
元の剣の状態に戻った小通連を将輝の攻撃から立ち直ったレオに投げ渡し、すぐ様墜落した紫道の下へ向かう。
見るからに直撃、手応えは十分だったが奴がこれでくたばるとは到底思えない。
「っ!」
果たして、その予測は正しく。
突如飛来した無色の弾丸を体捌きを以って躱す。
「翔けろ!」
避け得ぬ弾丸は雷矢を以って撃墜し、今にも膝を突きそうになる足腰を奮い立たせる。
全ては勝利の為。そしてその先にあるエリナ奪還の為。彼は、負ける訳にはいかないのだった。
空気が振動し、霧散した雷が空を駆ける。その幻想的な風景に観客達は魅了され、しかして創造主たる二人の少年は血反吐を吐きながら矛を交える。
「ハァッ!」
「フン…ッ!」
空を叩く拳は血に塗れ、気合を迸らせる口からも血が溢れ出す。
「ガっ…はっ……!」
解放された空気が風の鉄槌となってこの体を圧し折ろうとする。なんとかそれに耐え切って、反撃とばかりに拳を振り抜く。
圧縮された空気。硬い感触のソレを力任せに振り抜き、奴の腹部へと打ち当てる。
永遠に続くような錯覚の中で、ただ一心に拳を振るい続ける。いつしか互いの左手は逃すまいと相手の腕を掴んでいた。
「ッ????!?」
だがここに来て、再び紫道の体が朧げな霞になって消えた。今度は見逃すことはない。この眼は確かに
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