ACT.2 「暗い今と暗い過去」
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を取ってくるから待っていて、と泣き声で言っていたから、一階の玄関で待機した。
数分後、紺色のリュックサックと共に現れた芽衣の顔は、大分普通の顔に戻っていた。
「じゃ、行くぞ」
二人共家は近所なので、帰り道は大体同じだ。
先程と同じく手を繋ぎ、歩く事数分。
「ねぇ、長門君」
いきなり芽衣が口を開いた。
「どうした」
「私って、強くなれたのかなぁ。中学生の頃、覚えてる?」
あれは中3の秋だったか。芽衣が同学年の男子にいじめられている所を長門が助けた事があった。その時、芽衣が「これ以上、皆に迷惑をかけたくない。私は強くなる」と言っていたのを覚えている。その後芽衣は、陸上自衛官である父に近接格闘術を教わり、高校生からはSDFにも入隊した。
「覚えてるよ。芽衣は充分強い」
でも、と付け加える。
「防衛と個人とじゃ話は別だ。たとえ近接格闘術を身に付けようが、人という物は変わらない。だから仲間を頼れ。俺達はお前の仲間だ」
仲間…と微かな声で芽衣が囁く。
「頼れる奴はいっぱいいるんだ。拓馬、長谷、柿原、加藤先輩、そして俺も。遠慮はするな」
「いいの…?迷惑じゃ…?」
「あのなぁ、俺達はお前の事を仲間だと思っている。仲間なら、迷惑とか、遠慮とか、そんな物は気にしなくていい。分かったか?」
芽衣は小さな声で「…うん」と呟くと、口を自分の耳元へ持って行き、小さな声で「私の事を、守ってね」と言った。
その後、T字路で別れた二人の顔が赤くなっていた事は、双方とも知らない。
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