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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第二巻相当】
第二十三話「ある女生徒の挑戦」
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らして立っているだけだ。
「構えなくていいのか?」
先生はフッと軽く笑うと聞き捨てならない言葉を口にした。
「今の朱染の実力なら必要ない。どこからでもかかって来なさい」
「……っ、その言葉、後で後悔しても知らんぞッ!」
一息で十メートルの間合いを潰し、勢いが乗った右の上段蹴りを放つ。
先生は首を傾けるだけで回避した。
「……ふっ!」
空振りした蹴り足の軌道を無理やり戻し、後ろ蹴りへ移行する。
完璧な死角からの蹴り。しかしこれも頭を軽く下げただけで回避された。
「はっ!」
なら避け難い胴を狙う!
戻した足を軸に左の中段回し蹴りが空気を鋭く切り裂くが、一歩下がっただけで難なく回避された。
上手い……っ、私でも気付けないレベルで間合いを調整している!
先ほどから彼我の距離に変化がない。完璧に間合いを制している証拠だった。
「それなら……!」
避けられない距離で攻める……!
さらに二歩踏み込み腕が届く距離まで近づく。
大きく踏み込んだ右のストレート。ボッと大気に穴を穿ち先生の顔面へ放った。
「おっと」
先生は手の甲で滑らすようにして軌道を反らした。
暖簾を潜るような気安さで難なく往なす。
「……くっ」
一手で駄目なら二手、二手で駄目なら三手で。
手数を増やし瞬きも許さない速度で攻勢に出る。
「おっとっと」
しかし、これらすべてを先生は危なげなく往なしていく。
半身の姿勢を崩すことなく手の平で、手の甲で。
それも片手で捌いていく……!
「くそっ……!」
なぜだ、なぜこうも簡単に反らすことができるんだ。私の攻撃はそんなにも軽いのか!?
私たちバンパイアが『力の大妖』と呼ばれる所以、それはとある能力にある。
それが妖力を『力』に還元する能力。私たちバンパイアが誇る力というのは純粋な筋力ではなく、この能力によって還元された力を指すのだ。
還元された力のそれは純粋な筋力とは比べ物にならない効果を発揮する。幼子がコンクリートを粉々に砕くことができることからどれほどのものか想像できるだろう。
私も能力の恩恵を十分に受けている。いや、むしろ母様の血を色濃く受け継いでいるため同族より還元率が圧倒的に上なのだ。
能力を使えばコンクリートなど脆い豆腐でしかなく、鉄筋を軽く捻じ曲げることもできる。筋肉馬鹿な妖怪どもを文字通り得意な蹴りで一蹴してきた。
いくら先生といえども人間の筋力では
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