1部分:第一章
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「御心配には及びません。これまでの御恩を思えば」
「いや、ならん」
娘の言葉を退ける。
「それだけはならんぞ」
「ではこうしましょう」
それを聞いた貂蝉は父に言ってきた。顔を窓の方へやる。
「庭に牡丹がありますね。その牡丹の花を持って来ましょう」
「牡丹でどうするのじゃ?」
「花びらが白ならば私は義父様の仰る通りにします。ですが赤ならば」
「行くのじゃな」
「そうです」
彼女は答える。
「それで如何でしょうか」
「うむ、わかった」
王允はそれを聞いて聞き入れてくれたかと思った。彼の家にある牡丹は白いものしかないからだ。
「それではな」
「はい。では」
父に応えて一旦部屋を後にする。王允は娘のその姿を見て内心胸を撫で下ろしていた。これで彼女の早まった気持ちが抑えられたのだと思ったからだ。しかしそれは甘い見通しであった。
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