ターン28 鉄砲水ともう1つの『真紅』(後)
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ろうけど、しばらく大人しくしてれば夕方頃には歩けるようにはなるはずだしー。本当はさっさととどめさしておきたいんだけどねー、そういう約束だからしょうがないんだよ」
「や……く、そく?」
ゆっくりと口を動かし、どうにか言葉を絞り出す。そう、と頷き、また歩き出しながら遊がそれに答える。
「ユーノとの約束でね、まあちょっとした取引だよー。彼は君と一蓮托生だから、君に死なれちゃ困る。僕は三幻魔の力が訳あって必要なんだけど、1人じゃあの封印は解けなかった。光の結社のために、とか言って同じく三幻魔を欲しがってた彼とは、少なくとも封印が解けるまでは利害が一致してるからねー。こっそり手を組んだのさー」
「………!」
「露払いも済んだことだし、もう失礼させてもらうよー。これから封印がどうなったか見にいって、その結果によっては彼と三幻魔について『話し合い』してこなくちゃいけないからねー」
そして、今度こそ振り返らずに歩き去って行った遊の後姿を、ただ見つめていることしかできなかった。
『マスター、どうする?私が追うか?』
「……いや、いいよ。それより十代たちに連絡しよ、みんな心配してるだろうし」
そう言いながら、僕の後ろで倒れてるはずの富野の方を見て、一瞬自分の目を疑った。さっきまでそこに倒れていたはずの体は既にどこにもおらず、まるで最初から夢か幻かのようだった。
「どうなってんの、これ」
『私も見ていなかったからな。それより、マスター。こんなことを聞くのもなんだが、なぜそんなに元気なのだ?思ったよりもずっと回復が早い』
「あれ、チャクチャルさんが何かしてくれたんじゃないの?」
それに関しては僕も不思議だった。遊はついさっき、夕方ぐらいまでは動けないといった。にもかかわらず僕はもうぴんぴんしてる。てっきりチャクチャルさんがパワー補給してくれたのかと思ったけど、違うらしい。
『いや………ああ、そういうことか』
「え?」
『私からも礼を言わせてもらおう。マスターも彼らには感謝しておくといい』
そう言って、僕の胸ポケットを示すチャクチャルさん。そこからかすかな光が漏れていたので慌てて中身を引っ張り出してみると、光っていたのは2枚のカードだった。表面が完全に真っ白な、ちょっと見ただけだとエラーカードにしか見えないカード。ペガサス氏からもらった、世界の誰もが中身を知らないカードだ。ちょいちょい取り出しては眺めてみたり話しかけたりしてみたときには何の反応もなかったから実はちょっと不安だったけど、やっぱりこの中にはまだ『何か』がいるらしい。今回は僕に力を貸してくれた、ということだろう。
「ありがとう。いつか君たちにも会いたいもんだよ」
指で軽く撫でてから、2枚ともポケットに戻す。さてと、早いところ吹雪さ
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