ターン28 鉄砲水ともう1つの『真紅』(後)
[8/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
息だねー」
「ま、まだまだ……!」
清明 LP2000→500
大丈夫。墓地にはキラー・ラブカがいて、場にはポセイドン・ウェーブのカードがある。このターン戦闘ダメージを受ける可能性は0、といってもいい。
その瞬間、足元の地面から太い鉄格子が生えてきた。と思ったらそれは鉄格子なんかではなく、僕の体を完全に包囲する檻になった。そしてあたりに響きだしたジュウゥ、と何か高温の物を水に投げ入れたかのような音に嫌な予感がして僕のモンスターの方を見ると、水舞台装置の水中にあってなおも赤く溶ける溶岩の腕にわしづかみにされたツーヘッドとバーニカルが僕の頭上にいつの間にかいた怪物の口元へと運ばれていくところだった。思わず手を伸ばすけど、その手は檻に邪魔されて届かない。
「悪いねー、おおかた伏せカードは魔法の筒とかそんな感じのカードかな?………もう、終わりさ。相手フィールドのモンスター2体を生贄にして、こいつは相手のしもべとして召喚される……」
「嘘、でしょ……」
「溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム!」
溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム 攻3000
「もう、攻撃する必要もないねー。ターンエンド」
ラヴァ・ゴーレム。プレイヤー……つまり僕のスタンバイフェイズごとに灼熱の体が溶け出し、ダメージを与えるという恐ろしい効果を持つ大型モンスター。そのダメージ数は、僕のライフ500を上回る数値の1000。僕のデッキには手札から捨てて効果ダメージを防げるようなカードはないから、どうあがいたところで次のドローに賭けることすらできない。
「僕の、負け……」
「その通りさー。ささ、最後のカードを引いちゃってよー」
自分の死の宣告となる、デッキトップを見る。このカードを引いた時、僕のライフは0になる。もう1回死ぬこと自体には諦めもつく、というか覚悟もできているけど、僕だけならともかく見ず知らずの富野まで巻き込んでおいてあげくの果てに負けるなんて、ただただ無念すぎる。
「ねえねえ、まだかなー?それとも遅延かなー?」
「僕の、ターン………ドロー……」
ドローフェイズが終わり、お互いに発動できるカードがないことから自動的にスタンバイフェイズに移行する。その瞬間、ラヴァ・ゴーレムの体から溶岩が垂れてきて、檻の隙間を通して僕に降りかかる。それを避けるための隙間も、身を守るためのカードもない。今度こそ、終わりだ。
清明 LP500→0
ライフが0になると同時に体中の力が抜けていき、立っていられなくなってその場に倒れこむ。その様子を満足げに見て頷いた遊が、くるりと背を向けて三幻魔の封印地に向けて歩き出す。その途中で一度立ち止まり、誰に言うともなく口を開いた。
「今回は、見逃してあげるよー。全身の力は抜かれただ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ