ターン28 鉄砲水ともう1つの『真紅』(後)
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の思いに偽りはない。だが、彼は何も悪くない。若干の迷いを抱えた彼は、その答えをユーノとのデュエルの中に見出そうとした。だから何度返り討ちにされても、彼はユーノのもとに姿を見せるのだった。
今でも彼は迷っている。その途中なのに、ここでその清明を失うわけにはいかない。だからこそ、自分よりもはるかに格上のデュエリストである遊………ユーノと2人がかりで挑んでさえ敗北を覚悟するほどの相手のデュエルに割って入るという自殺行為に踏み込んだのだ。
ちくしょう。彼の意識が闇に飲み込まれていく寸前、もう1度その言葉を繰り返した。今更気づいて、一体それがなんになるってんだ。せいぜい勝てよ、ヒーロー。
「富野っ!」
地面に打ち付けられたっきりぐったりした富野の体を見て、一瞬もう魂が抜かれたのかと思った。だが、かすかに胸が上下しているのが見えてひとまずはホッとする。少なくとも、呼吸はまだしてる。
「さあ、負け犬は放っておこうよー。続き、ねー?さ、さ、まだ終わってないんだからさー、早いとこ終わろうよー」
そうだ。まだ、デュエルは終わっていない。僕がここで勝つ。富野が繋いでくれたこのライフ、ただ散らせるわけにはいかない。
「ターンエンド〜」
「僕のターン……ドロー!」
手札にいるのはさっき強制脱出装置で戻されたメタイオン先生のみ。フィールドにはツーヘッド・シャーク。モンスターがいるからこのままメタイオン先生を出すことはできないし、仮にできたとしてもそれは手札から特殊召喚できるバルバロスUrに対してはコストになるモンスターを引くまでの一時しのぎにしかならない。
なら、どうにかなるまでドローすればいいだけだ。
「魔法カード、貪欲な壺を発動!墓地のアーチャー、シャクトパス、ペンギン、シーラカンス、ハリマンボウの5体をデッキに戻してシャッフル、その後2枚をドロー」
これで手札は3枚。これで効率よく遊のライフを削るには……よし、デッキが僕に応えてくれた。この手札なら、勝てる。
「来い、ドリル・バーニカル!このカードは水属性だから、水舞台装置の効力を受ける」
ドリル・バーニカル 攻300→600 守0→300
「なるほどー、バルバロスUrを打点で越えられないから、倒すのを諦めてダイレクトアタッカーで僕を直接狙おうっていうんだねー?何を見せてくれるのかと思ったら、随分卑怯な手だねー」
「あいにくだけど、搦め手は水属性の十八番なんでね。バーニカル、そこのデカいのは無視してプレイヤーに直接攻撃、ドリルアタック!」
ドリル・バーニカル 攻600→遊(直接攻撃)
遊 LP2000→1400
ドリル状になった棘を飛ばしたフジツボが、めりめりと音を立てて急激に成長していく。
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