傀儡師
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何とでもないように言った。
「ああ!?馬鹿なのかお前は、自分の立場を弁え――」
ともすれば、不遜であると受け取られる態度に男がついに怒りを爆発させようとしたその時。
【我が主神より賜った魔力を紡ぐは我が言霊】
清流の音のような声がそれを遮った。
【紡がるるは不断なる幻怪の糸】
「え、詠唱だと…………お、お前等あいつの詠唱を止めろ!命令だ!」
「えっ、ここはリーダーが――」
と、いつ詠唱が終わり発動するか分からない魔法に怯え、それを阻む役を醜く押し付けあっている間に詠唱は終りに近づく。
【糸を操るは我が十指。縛さるるは哀れなる汝】
「わ、わかった、貴様の言うことは聞こう。だから、詠唱を止めろ。いや、止めてくれ」
詠唱を阻むことを諦めたリーダーの男は情けない声で訴えたが、ノエルは聞く耳も持たず、瞑目する。
【心を羈束され、我が従僕たる傀儡となれ】
そして、詠唱と終わりとともに開眼した。
その瞳は暗紫色の淡い光を発していた。
暗闇に浮かび上がる瞳に思わず見惚れていた男共にノエルは両の手の平を見せ付けるように突き出す。
そして、一瞬後に指先から瞳と同色の直径1Cの棒が伸びたと思ったときには、棒は夥しい本数の糸にわかれ、触手のようにうごめいた。
「うあああああああっ!!」
男共の悲鳴のような叫び声に反応したのか、揺らめいていただけの糸は意志を持ったように男共に伸び、身体に巻き付いた。
やがて、なにか喚きながら暴れる男共が見えなくなるまで糸が巻き付くと、繭となった糸と男共はぴくりとも動かなくなり、場を静寂が支配した。
そして、間もなく、糸が次第に空気に溶け込むように輪郭を薄めていくと、その場には魂を抜かれたように立つ男共が残った。
「では、案内してもらおうか」
その男共に、瞳が正常に戻ったノエルが命令する。
「わかりました。こちらです」
すると、生気のない声音で不似合いな丁寧口調でリーダーの男が答えた。
これがノエルの魔法のひとつ――『カイライノロンド』
内容は、
・目が合った最大三体のモンスター、または人間を半永久的に精神支配。
・三体以上の場合はランダム選出。
であり、ノエルが『冥境の傀儡師』と呼ばれる所以である。
「よし、おい、お前、いつまでそうしているつもりだ、置いていくぞ」
「ふ、ふぁい」
いまだ目を回しているリズはノエルに気の抜けた返事をするとよろめきながら立った。
それを確認すると、ノエルはリーダーに走っていくと言い、走り出した。
その後を従順に走る男三人とふらふらと走るリズ
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