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ダンジョンに復讐を求めるの間違っているだろうか
閑話
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 デイドラは紅蓮に染めた瞳にウォーシャドウを映す。
 ウォーシャドウはデイドラの出方を見るように佇んでいる。

 (力を得るには――)

 デイドラは短刀を握り直し、腰を僅かに落とす。

 (狩るだけ)

 短刀を構えるとともにウォーシャドウも不動ながら迎撃の気配を纏う。

 (他に何もいらない!)

 デイドラは地面を渾身の力で蹴って、ウォーシャドウに突貫した。
 地面を蹴る度に速度は増し、ウォーシャドウを間合に捉えたときには弾丸と化し、遅くはないウォーシャドウの反応速度を引き離す。
 腕を僅かにもたげただけで棒立ちのウォーシャドウの胸部に袈裟斬りの一閃。
 間を空けず、続けて胴を通り過ぎ様に斬り払い、その勢いを殺さず右足を軸に反時計回りに回転しながらウォーシャドウの背を横薙ぎの二連撃を叩き込んだ。
 ウォーシャドウは何が起きたのか理解できないまま、僅かな反撃も許されず、身を震わせると、力無く地に倒れ伏す。

 (いる。もっと力がいる)

 デイドラはウォーシャドウが倒れ伏した一拍後、短刀を振り抜いたときのままだった体勢を解きにウォーシャドウの骸に一瞥も与えず、足を通路に向けた。


     ◇


 浅はかにも襲い掛かってくるどんなモンスターも一瞬以上の時間をかけず屠りながら、さまようこと半時間。
 デイドラは下階――つまり七階層――に続く階段の前に静かに立っていた。
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