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歌集「春雪花」
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 擦れ違う

  影ぞ君と

   見間違い

 可笑しくなりて

    淋しさぞ増し



 夜、仕事へ行くために歩いていると、ふと向こうから歩いてくる者がいる。
 俯いて擦れ違った時、彼ではないのか…そう思った…。背格好が良く似ていたからだが…振り返って確認することもない。

 彼がここへ居る訳がないのだ…。

 そう考えて可笑しくなったが…なぜか淋しさも増してきた…。



 梅雨空の

  時季に違えし

   寒さなる

 想いし君は

    健やかなりしか



 朝方より雨が本格的に降り始めた…。
 去年より時季違いの寒い梅雨の雨…。

 彼は…風邪など引いてはいないだろうか?
 寒さに震えてはいなかろうか…?

 きっと…そんな心配は無用なのだろうが…心配せずにはいられないのだ…。




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