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ソードアート・オンライン 瑠璃色を持つ者たち
第七話 初の戦闘
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この男、本当に人の心を読めるのではないか。そう思ってしまうほどに彼の言葉はアスナの中にあった疑問の答えを出していた。

「どうせ、本当はいい人なんじゃないかって期待とやっぱ最低の人間だっていう軽蔑で心中穏やかじゃなかったのを、俺に直接ぶちまけることでスッキリしたかったんだろ?」

もはや人間とは思えなかった。人の表情から相手の心情を察することが得意だと自負するほどのアスナでさえもこう的確には当てられない。

もうこの次元まで行けば人間ではなくーーー

「あなた、神様かなにかなの?」

「ハッハッハ。神、ねぇ……」

一つ間をおいて、彼は言った。

「この世に神なんていねえんだよ……!」

押し殺したような声音に、アスナはビクっと肩を震わせた。
どうして彼がこんな怒りを見せるのは分からない。だが、アスナは一つの確信を得た。

この人は、何かに裏切られたのだと。
その結果が今の彼を作ったのだと。

アスナがリュウヤの言うような葛藤に陥っていたのは、第一層での彼の一言のせいだった。

「俺、なんも悪くねえじゃん」

あれは演技などではなく、正真正銘“心の底からの本音”だった。

だからこそアスナはあんな葛藤に身を包んでしまったのだ。キリトを助けようとしたのではないか、あの一言は自分では気づけないほどの演技だったのではないか、彼は最低の人間なのかと。

アルゴにその心の内を明かすと、彼女は言った。

「アイツはな、天邪鬼なんだヨ」

意味がわからなかったが、なんとなく分かったことはある。
アルゴが言いたかったのは、「自分たちが考えて分かるような思考ではない」ということではないのか。

「ま、そういうことで、俺は神じゃねえよ」

アスナの思考を遮ったのは、さっきとは打って変わって笑っているリュウヤの声だった。

「あなた、本当に人間……?」

「おいおい、人を化け物扱いとか人権侵害でしょっぴかれたいの?お縄にして欲しい人なの?あ、縛られたいの?まさかのMなの?」

「Mじゃないわよ!」

「ああ、縛りたい側?」

「Sでもないわよっ!」

アスナの反論にケタケタと笑うリュウヤは実に楽しそうだった。
どんな場面でさえ面白おかしくしようとする彼の思考は全く読めない。いや、読もうとするのがそもそも間違いなのかと思えてくる。

「んじゃ、デュエルも終わったし、報酬いただこうか」

アスナが嘆息していると、リュウヤはさも当然のように切り出した。
だがアスナにはそれを言われる筋合いがなかった。

「え……?だって、それはもう片付いたことじゃ……」

「俺はお前が今後一切、自分を賭けに出すような真似をしないと誓えば、『デュエルしてやる』っつっただけだぞ?」


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