第七話 初の戦闘
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ヤにアスナは息を飲んだ。
だが今更引き返すこともできない。言質は取られているし、やっぱりやめるなんてことも不可能だ。
(ううん、負けなきゃいいのよ。負けなきゃそんな命令聞かなくてもいい……!)
そう腹を括っていると、リュウヤはぷっ、とふきだし笑い始めた。
「アッハハハハハ!冗談だってば。そんな思いつめたような顔しな〜いの。せっかくの美人が台無しだぜ〜?」
「〜〜〜〜っっ!!」
顔を真っ赤にして声にならない声で怒るアスナだが、それに対してリュウヤは笑う。
だが、ひとしきり笑ったところでリュウヤは真剣な表情になった。
「アスナ、『なんでも言うこと聞く』ってのはそういうことを言われることがあること、絶対に忘れるな」
まるで説教をされている気分のアスナだが、実際説教をしているのだろう。いたいけな少女を傷物にしようとするやからはどこにでもいるのだと、そう叱っているのだ。
バチが悪いのとリュウヤの冗談にまんまと引っかかった怒りで顔をうつむかせる。
その頭上で、ハァとため息が漏れた。
「今後一切、自分を賭けに出すようなマネをしないと誓えるのなら、《デュエル》くらいはしてやるよ」
まさかの提案にアスナは食い気味に顔を上げた。
「誓うわ。絶対に言わない。だから《デュエル》して」
「はいはい分かったよ。なら外に出ろ。近くにいいところがある」
言いながら、リュウヤは立ち上がった。
「ここ……?」
「いいとこだろ。よく一人で来るんだ」
アスナが連れてこられたのは、圏内ギリギリの広間のような場所だった。
「ここは一人でぼーっとするときにいいぞ。お前も暇があれば来ればいいさ」
「その前に《デュエル》だけどね」
「はいはい血気盛んなのはいいが、うっかり殺さないでね?」
リュウヤはおどけているのか本気で言っているのか知らないが無視。ウインドウを開き、決闘を申し込む。
「スルーですかそうですか」と言いつつリュウヤは初撃決着モードをクリックした。
両者の間で六十秒のカウントが始まる。
アスナはレイピアを鞘から引き抜く。
リュウヤはウインドウを開き、槍と防具を装備した。
防具と言えども、藍色のレザージャケットを羽織るだけだが。
互いに無言の時間が過ぎる。
アスナはレイピアをフェンシングのような構えで若干腰を落としながら構え、リュウヤは左足を前に、槍を肩に担いでいた。
二人ともに戦闘意欲というものは感じられない。あるのは目の前の相手を倒し、その先にある己の目的だけだ。
両者のにらみ合いが解けたのは【DUEL】の文字がはじけた瞬間。
先攻はアスナだった。腰を低くしていたのは突進の勢いをつけるた
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