第七話 初の戦闘
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しかし、いきなり背後からなにかが精製される音が聞こえた。
バッ、と振り向くとそこには先ほど倒したばかりの《ロイアルリテーナ》が。それだけではない。一体増えて二体になっているのだ。
それだけで、あらかたのことをリュウヤは悟った。
何体かは不明だが倒すごとに頭数が増えていき、その出てくる敵を全て排除しなければ宝箱は開けられない。
「あ〜、こりゃヤバいもんに手ぇだしちゃったのかな?」
言いつつ、リュウヤは油断なく槍を構えなおした。
意識をもう一度戦闘モードへと切り替え、不敵な笑みを浮かべた。
「さて、殺されないように気をつけないとな」
日が沈み、多くの昼型プレイヤーたちが街で酒を飲み、飯を食べ、笑みがこぼれだす夜。
第十層の天井にはキラキラと光輝く星のようなものがいくつもこちらを見下ろしている。
その小さな光源のおかげか、もしくはシステム的な配慮か、街中ではない外のフィールドでもあたりを見渡せるくらいには明るかった。
そんな中をトボトボと歩く青年が一人。
「………………」
無言。息を吸って、吐くだけ。
十人に聞いて十人が「疲れてるよね、あれ」と言うであろう、見ただけでわかるお疲れモード。
今すぐ大の字に転がって寝たいという欲求を抑えて歩くのはついさっきようやく迷宮区から出てきたリュウヤ。
生きて帰ってこれたことに嬉しさは当然あるのだが、これだけは仕方ない。
あの宝物庫で戦った《ザ・ロイヤルリテーナオブソード》は全体撃破。最後に剣を交えた数は五体。正直、死ぬかと思った。
一発一発の攻撃力が馬鹿高いのに加えて数でも押してくるのだ。全力で回避を続けスキができれば単発ソードスキルでダメージを与えた。
疲れたのはそれだけではない。やっと終わったと思って宝箱を開ければ、中身は自分じゃ使えないもの。全部開けたが、どれ一つとして実用性のあるものはなかった。
成果といえばレベルが一上がっただけ。確かに嬉しいことなのだが、それでも精神的疲労は癒えない。
「はぁ……」
ため息をこぼしながら歩いていると、街が見えてきた。リュウヤはようやく圏内へと戻ると、すぐさま武器、防具の装備を全て解除した。
着ているのはシャツとズボンだけという、いかにもNPCのような格好だ。
誰もこのプレイヤーがリュウヤだとは気づかない。それどころかプレイヤーとさえ認識していない可能性もある。
だから、情報屋の網に引っかかることがないという利点がある。自らの居場所を特定させない。それは今のリュウヤにとって重要度の高いことだった。
かなりの悪評を背負うリュウヤは凄まじい批判を受けることがある。それだけならリュウヤもまだ大丈夫なのだが、それを公衆の面前でやら
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