暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第148話 救出
[5/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
士達が突入し直ぐに屋敷から家人の者達と思われる悲鳴や叫び声が聞こえてきた。その後、鋼の武器がぶつかり合う金属音と怒声が人々の喧騒に混じる。そして、屋敷内から火の手が上がりだした。遠目からも煌々と輝く炎が暗闇を照らしていた。

「正宗様、七乃殿の暗兵は我らの突入のどさくさに紛れ屋敷の裏手から侵入したとのことです」

 屋敷周辺を封鎖しているはずの泉が現れた。彼女は騎乗したまま正宗に駆け寄り、彼にだけ聞こえるように囁いいた。正宗は泉の報告に頷く。

「屋敷の封鎖は問題ないであろうな」
「はい、私は配下に恵まれていますので」

 泉は正宗に言った。正宗は笑みを浮かべた。

「泉、なかなか言う様になったな。これからが楽しみだ。この私とともにこれからも着いてこい」
「正宗様に捨てられようと、私は正宗様のために槍を振るう所存です」

 泉は正宗に笑い返した。



 正宗が商家を襲撃して半刻(十五分位)もすると、騒ぎを聞きつけた周辺の住民が集まってきていた。高級官吏や上流層の者達が多く住んでいる区画ということもあり、身なりの良い者達が何事かと集まり、遠巻きに正宗達のことを眺めていた。
 そのとき、屋敷の門からすすで汚れた男が足をふらつかさせて兵士達に連行されてきた。黄忠の娘の誘拐に関わっていた屋敷の主人だ。彼の名は張玄白。騎乗する正宗の門前に引き出され張玄白は正宗を恐怖に満ちた表情で体を震るわせて見ていた。甲冑に身を包んだ正宗と兵士達の中に一人置かれれば恐怖するのは当然と言えた。それも屋敷を襲撃した人物の前なら尚更だろう。

「張玄白だな」

 正宗は威厳に満ちた態度で詰問した。張玄白は正宗に何も返事出来ずにいた。

「清河王、直々の質問だ。素直に答えろ!」

 泉が馬上より張玄白の喉元に槍の切っ先を向けた。

「そそその通りででごごごおざいます」

 張玄白は震える声で正宗に言った。

「貴様、黄漢升の娘を誘拐し、彼の者を脅迫した蔡徳珪に加担し私を襲撃することに協力したな」

 正宗はわざわざ周囲に聞こえるような大きな声で張玄白に言った。張玄白は正宗の声の大きさに体を緊張させていた。

「しし知りりりままません。わ私はししがない商人にごございます。そんな恐れ多いことするはずがございません」
「知らんというのか?」

 張玄白は顔を必死に下げた。

「では奴は誰だというのだ。あれは蔡徳珪の私臣であろう!」

 正宗は張玄白に向かって怒鳴ると、視線を門の方に向けた。その瞬間、遠巻きで見つめていた者達も騒ぎ出した。そこには血塗れになり息絶え絶えの大男が愛紗に首元を掴まれ引きづられていた。張玄白は当初引きずられる者が何者か分からなかったようだった。しかし、近づいてくるに従い、恐怖に引きつっ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ