第148話 救出
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な悪いです。私何か見返りを欲しいなんて、これっぽちも思っていないですよ」
七乃はオーバリアクションを取って正宗の申し出を拒否する素振りをした。
「七乃、どうしても褒美を受け取って欲しい」
「そうですか。そんなに正宗様に仰られては断るのも失礼ですよね」
七乃は満面の笑みを正宗に返した。
「褒美は何が欲しい」
「珍しい武器が欲しいです」
七乃は正宗に即答した。この様子だと彼女は以前から正宗からもらいたいものがあったのだろう。
「珍しい武器?」
正宗は七乃の言葉に要領を得ない表情をしていた。
「正宗様は何やら武器の研究に熱心だと麗羽様から小耳に挟んだことがあるんです」
「何のことだ?」
正宗は素知らぬ顔で七乃に答えた。
「んっもう。隠さないんですいいじゃないですか〜」
「珍しい武器なんて知らないな。長い槍のことか?」
「そんなものわざわざくださいなんて言いませんよ」
七乃は正宗に食い下がった。正宗は彼女が欲しているのは「銃」でないかと察した。もう、これ以上隠しても七乃が引き下がる気配はないと感じた正宗は隠すのを諦めた。
「あれは暗殺には向かないぞ。それに音が大きいため、武器として隠密性に欠ける。お前の率いる暗兵には不向きだし、扱いが難しいため冀州での訓練が必要になるぞ」
「構いませんよ。正宗様が不向きと思われても、私にとっては役立つかもしれないじゃないですか?」
七乃は正宗の説明など意に介さない様子だった。
「分かった。黄漢升の娘の救出に成功した暁には銃を提供しよう。銃の管理はくれぐれも厳重に頼むぞ。あの武器は戦を激変させかねないからな」
「やっぱり面白そうな武器だったみたいですね。わかっています。銃の訓練を受ける候補者を冀州に送りますのでよろしくお願いしますね」
七乃は意味深な笑みを浮かべ正宗に言った。
「黄漢升の娘の救出の件よろしく頼む」
「お任せください」
七乃は正宗に拱手して頭を下げた。その後、彼女は一部の乱れのない礼儀正しい所作でお辞儀をして部屋を去って言った。
「これで準備は整ったな」
正宗は部屋から出ると中庭から除く空を見つめていた。
宛城某所――
空には月が出いていた。既に人の気配は辺りに感じられない。漆黒の闇夜に月明かりだけが大地を照らしていた。その闇を縫うように整然とした完全武装した兵士達が駆け足で進軍していた。
その兵士達に混ざり馬に騎乗した者達がいた。正宗と朱里と泉と愛紗である。
「正宗様、私達は屋敷の周囲を囲むためにここで別行動させていただきます」
正宗は朱里に声を掛けられ頷いた。
「正宗様、ご武運を!」
泉はすれ違い様に正宗に言っ
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