第四章
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「そのことを知るとはな」
「あの、それでなのですが」
そのパイワン族の学生も言って来た。
「タイヤル族ですが」
「どういった者達か」
「結構開けていますね」
「そうだな、この集落を見る限りな」
観光地、温泉街になっている。それで彼も言った。
「店も多いしな」
「宿もお客さんが多いですし」
「結構賑わっていますね」
「それを見ますと」
「いい感じですね」
「そうだな、文化的でもある」
柳原はこうも言った、湯の中で。
「いい感じだ」
「高砂族といいましても」
別の高砂族の生徒が言って来た。
「本当に一つではなくて」
「こうした部族もあるのだな」
「そうです」
「わかって来た、しかしだ」
「しかし?」
「うむ、こうした色々な部族がいるが」
その高砂族もというのだ。
「しかしだ」
「それでもですか」
「全て帝国臣民だからな」
このことは強く言うのだった。
「皆同じだ」
「では私達もですね」
「誰もがですね」
「こうして中学校に通え」
「そして大学にも」
「当然だ、学べばだ」
それでとだ、柳原は高砂族の学生達に確かな声で話した。
「大学にも入ることが出来て身を立てられるのだ」
「生まれに関わらず」
「それが出来るのですね」
「だから学問に励むのだ」
是非という言葉だった。
「いいな」
「はい、では将来はです」
「さらに上に登ります」
「そうするのだ」
こう学生達に言うのだった、広い露天風呂で彼等と共に入りながら。そうしてその風呂の後で夕食を楽しんでだった。
柳原は旅館の者達にだ、こんなことを言われた。
「お酒はどうでしょうか」
「飲むこともか」
「はい、どうでしょうか」
「そういえば鳥来は酒もだな」
「あります」
いい酒がというのだ。
「私達のお酒が」
「それはどういった酒か」
「粟の酒です」
この穀物から作った酒だというのだ。
「それになります、あと薬用酒もあります」
「ふむ、粟か」
「はい、お客様は日本からの方ですね」
「そうだ、筑紫のな」
「それではお米ですね」
「酒といえばな」
「それで酒は酒ですが」
それでもというのだ。
「粟のお酒です」
「それを飲めるのだな」
「如何でしょうか」
微笑んでだ、客は柳原に勧めるのだった。
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