10.始まりと終わりの国
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『ギャウウウウウウンッ!?』
『ゲバァァァァァァァァッ!!』
「………急いでるの」
冷たい一言を放ち、魔物の群れを颯爽と駆け抜けたアイズは、まだ瓦礫の残る奥へと駆け抜けていった。
魔物の群れは一瞬彼女を追うかどうか迷うが、直後に咆哮が響いて強制的に意識を逸らされた。
「ウオァァァァアァァァァァアアアアッ!!」
その咆哮を放ったのはベートだ。大声をあげて周辺魔物の注目度を稼ぐ、原始的だが有効な戦術だ。魔物の爪や牙は完全にアイズとは反対方向へ向いた。
「ッ………相変わらずデカイハウリングだな、ベート」
「だがこれで狼たちの意識は完全に僕らに向いた!あとはアイズが戻ってくるのを待ちつつ迎撃だ!」
「チッ……手加減しながら戦うなんて俺ぁしたことねえんだがな!こんな冒険は初めてだッ!!」
その後、ベート達の慣れない陽動戦はアイズが銀髪の少年を抱いて戻ってくるまで続いた。
後に、この大災厄から唯一生き残ったとして「奇跡の人」と呼ばれることになる、純朴そうな少年。
その出会いが、大きな歯車をまた一つ動かすことになる。
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