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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
10.始まりと終わりの国
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る普通の人々である。

 ここに到ってようやくレフィーヤはその危険性に気付いた。話を聞いていたアイズも難しそうな顔をしている。

「たたた大変じゃないですか!いそいで魔石が大きくなってる理由を調べないと、あんな危機感のない国なんてあっという間に魔物に滅ぼされちゃいますよ!!」
「声が大きいぞ……ともかく!何が原因かは知らないが、これは本当に由々しき事態だぞ。気を引き締めろ」

 魔物の狂暴化。この原因が不明のままでは地上の民が危険に晒される。今までこの世界ではダンジョン内の魔物が特別狂暴だからダンジョンに蓋をすれば地上に然程被害は及ばなかった。だが、この様子では強い魔物に分類される存在が地上に現れる可能性がある。
 そんな時に、地上の民たちは果たしてそれに対抗できるのだろうか。無論、この狂暴化は突発的なものかもしれない。それでも、微かな不安が過ることを彼女たちは止められなかった。


 一方、そんな彼女たちとは全く違うことろを見ている人物がいた。
 団長であり小人族(パルゥム)の戦士でもあるフィンだ。彼はカルディスラの兵士団を驚きと好奇の入り混じった目線で眺めていた。普段から指揮官として冷静な彼がこのように呆ける光景は珍しい。

「……オーウェン兵士長。この兵士団には、いろいろな種族がいるんですね?カルディスラはヒューマンの国だと聞いていましたが……」
「ああ、彼らはその殆どが移住者なんだ。自慢じゃないが、この国は余計なしがらみが少ない分移民もそれなりにいる。今じゃ街中でヒューマン以外を見るのもそんなに珍しくはないかな」

 快く質問に答えるオーウェンの後ろでは、ハーフエルフの男性がドワーフや犬人(シアンスロープ)に指示を飛ばし、小人族とヒューマンが共同で滑車を転がし、中には有翼人(ハーピー)らしき姿まで見受けられる。あらゆる人種の集まるオラリオならともかく、辺境の国家でこんな光景はまず見受けられない。
 意志の統率がよく取れているのに感心すると同時に、フィンは疑問を抱いた。種族によって崇める神や価値観は違うだろうに、何故神もいないこの国にこれほど多様な種族が集まったのだろうか。

「彼等は何故、この国の兵士団に?」
「彼等は普段はは別の仕事をしている者も多いんだが、忙しい時になると仮隊員として矢面に立ってくれるんだ。実際、大助かりだよ。種族的な特技を活かしてくれるおかげで今回もなんとか死者は出ていない。助け合いさ」
「へぇ………」

 話を聞きつつも、目線は自然と小人族へ移っていく。
 そこにいる小人族たちは、他種族たちとの軋轢もなく対等に喋り、手伝い、手伝ってもらい、生き生きと生活していた。ダンジョンでは戦闘能力に乏しいとされて表で活躍することの少ない小人族たちは、まさに今が充実した瞬間だと言わんばかりに
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