10.始まりと終わりの国
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「調査が進んどらん?……どゆコトか説明してくれへんか?」
「実は、あの光の直後から周辺の魔物が異様に活発化しておるのです。おまけに大きな地響きの影響でノルエンデまでの道の一部が崩落しておりまして………」
「魔物が、活性化やて?」
基本的に、この世界にいる魔物というのはダンジョンから地上へと放たれた固体が生物的に繁殖した存在である。そして魔物は体内に持つ「魔石」でその生命や戦闘能力を維持している。当然、繁殖にも魔石の力を消費し、使えば使うほどに魔物は弱くなっていく。
対し、ダンジョンでは壁だの地面だのから魔物はいくらでも生み出される。ダンジョンそのものが魔物の繁殖を行っているともいえる。そのため魔物は基本的に魔石の力を殆ど消費しない。よって、地上の魔物はダンジョン内の魔物より圧倒的に弱い筈なのだ。
稀に自然エネルギーや霊力が溢れた場所や、ダンジョンとは違い悪魔族の住まう『魔界』や、神々の間ですら神秘の空間とされる謎多き『神界』のような異次元から魔石の代価エネルギーを受け取った魔物はその例外なのだが、少なくともカルディスラのそのような異次元に通じる場所が存在するとは聞いたことがない。
故に、魔物の活性化の原因が全く分からない。あの空の光がそのようなエネルギーを含蓄していた可能性はあるが、あの光はほんの数瞬輝いただけだ。力もすぐに霧散していた。
――やはり出張ってきて正解だった、とロキは思った。これは明らかな異常事態だ。原因をハッキリさせなければ、もしかしたら全世界に影響が出るかもしれない。
「ロキ殿もご存じとは思いますが、わが国はもとより崇める主神のおらぬ国。兵士たちは粉骨砕身しておりますが、恩恵のない我々に魔物を迎撃しながらの道の確保は厳しいのです」
「で、肝心のノルエンデ住民はどないやねん?誰か現場の様子を知っとるのは?」
「…………空に立ち上った光を見てから2日が立ちますが、騎士団は誰一人としてノルエンデの住民を発見しておりません。だからこそ、困り果てていたのです。もし生存者がいるのなら、これ以上時間をかけられないので……」
もし光の影響で村に異常が起きたり災害のような被害が出ているなら、2日という数字は大きな意味を持つ。食料品、体力、衛生環境……加えて魔物の活性化。仮に生きているのなら、既に相当追い込まれている筈だ。
「ロキ殿……国王として貴方にお頼み申す。どうか、ノルエンデ調査にお力添えを頂けませぬか?我々だけでは如何ともし難いが、貴方がただけに許可を出して指を咥えている訳にもいかぬのです」
国家を守り導く身としての体裁と、人道的に見た場合の合理的判断。その両方を満たすにはそう言うしかないだろう。ロキは国王の目の底に、真に民を想い憂う情を感じた。為政者としては優し
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