第二百十四話 家康の馳走その十
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「当家ですな」
「そうじゃ、わしとあの弟達がおりな」
そしてとだ、義久自身言うのだった。
「島津家じゃ」
「ですな、では」
「これよりですな」
「弟達と話す」
その四兄弟でというのだ。
「そのうえでじゃ」
「はい、それでは」
「我等はこれで」
こうして家臣達は去り入れ替わりにそれぞれ義久によく似た顔の橙色の衣と冠の者達が義久がいる内城の主の場に来てだ。
そのうえでだ、四人になったところでだった。
まずはだ、義久が弟達に言った。
「そなた達を呼んだのはじゃ」
「いよいよですな」
義弘が応えた。
「九州をですな」
「うむ、我等の手に収めようと思う」
義久はこう答えた。
「そう思っておる」
「では」
「しかしじゃ」
ここでこうも言った義久だった。
「数年じゃ」
「その刻限は、ですな」
「うむ、数年のうちに統一したい」
「そういえば、ですな」
今度は歳久が言って来た。
「天下のかなりの場所が織田家のものとなりましたな」
「そうじゃ、西国もな」
九州以外のその場もというのだ。
「織田家のものとなった」
「山陽も四国も」
「全てじゃ」
「そして東国もですな」
歳久は薩摩からかなり離れたそちらの話もした。
「今や」
「関東は完全に織田のものとなった」
「そして奥羽の一部も」
「伊達家が降った」
それによりというのだ。
「織田家のものとなった」
「そしてその織田家が、ですな」
最後に家久が言った。
「九州に来る前に」
「その前に我等が九州を手に入れる」
義久は車座になり己と向かい合って話している弟達の顔をそれぞれ見つつ末弟に対しても答えた。
「数年のうちにな」
「そうする為にも」
「織田家は暫くは動けぬ」
動かぬではないこともだ、義久は見抜いていた。
「政にかからねばならんからな」
「天下の政の仕組みを整え」
「手に入れた国も治める」
「その為の数年ですな」
弟達はそれぞれ言った。
「つまりは」
「そういうことですな」
「だからこそ」
「うむ、だからじゃ」
それ故にというのだ。
「数年じゃ」
「ではその数年の間に」
「九州の他の大名達を平らげ」
「そしてこの地を」
「だからじゃ。よいな」
あらためて言う義久だった。
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