第二百十四話 家康の馳走その八
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「それからじゃ」
「将軍にも太政大臣にも」
「なる、全てを整えてからな」
あくまでこう言うのだった。
「今ではないがな」
「ですか、ではまずは」
「うむ、数年の間はまたな」
「政ですな」
「幕府はまだ開かぬが下地は作っておく」
それはというのだ。
「だからじゃ」
「検知も刀狩りも進め」
「そして城もじゃ」
これもというのだ。
「やがてはな」
「それもですか」
「天下が収まればな」
そうなればというのだ。
「減らしていく」
「そして乱が起こった時に篭らせないのですな」
「そういうことじゃ」
「ではそのことも」
「あと楽市楽座はこのままじゃ」
それはいいというのだ。
「とはいっても安土に入る鉄砲と出る女はな」
「参勤交代でそれぞれの大名の家族を置かせているが故に」
「出る女は用心せねばな」
信長はこのことに、も気を配っていた。
「人質は好きではないが」
「それでもですな」
「乱を起こさせぬ為じゃ」
「参勤交代と共にですな」
「進めていくとしよう」
「では関所は」
林はここでこれを話に出した。
「置かれますか」
「関所か」
「はい、安土への要所に」
「そうじゃな、わしは安土におりな」
「大名屋敷もここに集まっております」
それでというのだ、林も。
「ですから」
「考えておこう」
「それでは」
「安土は道が開けておるからな」
「要所にそれぞれ関を設け」
「出入りを調べるべきじゃな。しかし」
「それでもですな」
「基本的に関は少しでよい」
信長はこうも言った。
「そして銭は取らぬ」
「関を通るにあたって」
「それはせぬ」
決して、という口調だった。
「そもそも関を設けると往来に色々と邪魔が出るからな」
「だからですか」
「それでじゃ」
「関を設けるにも少しで」
「その少しで」
「うむ、商いの往来の邪魔はせぬ」
これが信長の考えだった。
「その様にな」
「さすれば」
「関は少し設けるだけじゃ」
「商いの往来は大いにですな」
「このままそうさせよう、そして楽市楽座はな」
「このままですな」
「行わせる」
こちらについては変わりがなかった。
「その様にな」
「では」
林も信長のその考えに頷いた、こうして宴の後信長は早速大掛かりな政にかかり大きく広がった領地を治め天下統一の後の政も進めていた。
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