踏み外した歴史編
第7話 戒斗の描く世界 A
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までしなり、切れた。二人は地面に激突したものの、ダメージは軽減されただろう。
「しまった……!」
ザックはビルの下を覗き込み、手近なコンクリートを殴った。
人間であれば一溜りもないから一撃でケリがつくだろうと、小型爆弾一つしか用意しなかった。これはザックの手落ちだ。
だが、落ち込んでばかりもいられない。
ザックは急いで取って返し、コンクリートの地面に黒い髪を散らばらせて倒れる巴に駆け寄った。
「大丈夫か!?」
「ええ……何とか」
ほつれた髪を揺らして起き上がる様は、初めて会った日と変わらず妖艶としていた。
「戒斗さんと耀子さんは?」
「……分からねえ。墜落死はまぬがれたみたいだが、爆発のダメージはもろに食らってるはずだ。でもこの程度でやめるようなら戒斗じゃねえ」
「いいえ。もう充分です」
巴は、ザックが差し出した手を取らず、自力で立ち上がった。
「舞さん。聞いていましたね。戒斗さんの目的は人類を滅ぼすことです。今の世界を愛するあなた。戒斗さんに知恵の実を渡しますか?」
まるでそこに舞がいるかのように、巴は両腕を広げて何もない宙へと謳い上げる。
その目は爛々と輝いている。
ザックは得体の知れない悪寒を覚え、巴に声をかけることができなかった。
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