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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
ありふれた冒険譚◆初めての絶望、そして希望
第十話 第二十五層ボス――The Twin Giant――
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ギルだ。《双剣》と呼ばれたマルバは顔をしかめながら振り返った。
「その呼び方、よしてくれよ。僕は《閃光》のアスナみたいに活躍してるわけじゃないんだしさ、バトルスタイルだけ評価されても正直微妙なだけだし。」
「いやいや、お前結構活躍してたぞ?で、どうだった。いいアイテム出たか?」
「うん、武器破壊ボーナスで籠手がドロップしてた。『黒武』……だってさ。」
「おお、よかったな。お前、籠手ならちょうどいいだろ。」
「そうだね。こいつもそろそろ替えどきだったから助かったよ。エギルの方はどうだった?」
「いいや、役に立つものはなかったな。曲剣ならドロップしたけど、お前使うか?安くしとくぞ?」
「あ、ただじゃないんだね……。曲剣スキルは体術スキルを取るときに諦めたよ。」
「そうか……。仕方ない、店で売るとするか。」
「それがいいと思うよ。これもあげる。僕は使わないから。」

マルバはドロップしたLv.3の毒の瓶もエギルに押し付けた。Lv.3といえばかなり強い毒だが、マルバにとってはストレージを圧迫する要因にしかならない。

「んなもん、俺も使わねえよ。短剣に塗って投げれば少しは効くんじゃねぇの?」
「あ、そんな使い方もできるのんだ。今度試してみるね。」

マルバはエギルの手から瓶を奪い取った。苦笑するエギル。

経験値とコルの分配が終わるとマルバは一旦別れを告げてはその場を離脱した。ボス戦の間リズにユキを預けておいたので回収に行くのだ。




「いらっしゃいませ〜、ってなんだあんたか。」
「仮にも客に向かってその言い方は無いんじゃないの?」
「まあまあ、ユキ預かっててやったんだからそれくらいいいじゃないの。」

ユキはリズの腕の中に収まっていたが、マルバをひと目見るなり飛びついてきた。蹴られた形になるリズは数歩よろめく。

「うわっ、とと。結構力あるのね、その子。」
「うん、筋力値は低いんだけどね。敏捷性が半端じゃないから蹴りは強いと思うよ。」

マルバはユキをなでると、そっと地面に下ろしてからリズに向き直る。

「それじゃあ本業のほう、お願いしようかな。このチャクラムの整備をお願い。」
「任せといて。……あれ?籠手はいいの?」
「ああ、ボス戦で新しいのが手に入ったからね。……あ、そうだ。せっかくだし、ちょっと見てみてくれない?」

マルバはそれまで装備していた籠手、『瓢』を外すと新しく手に入れた『黒武』といっしょにリズに手渡した。メインウィンドウの追加防具装備欄から表示が消える。
リズは指で黒武の表面を軽くタップすると開かれたウィンドウから鑑定スキルを示す虫めがねアイコンを押した。

「うーん、普通の防具ね。」
「あれ、そうなんだ。ボスの武器破壊ボーナスで手に入れたやつだからなにか特殊
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