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大陸の妖精
やさしい言葉
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ミラの言葉をかき消すかのように声を荒げるフリード


意地を張るフリードに対し、ミラは優しい声で言った



「一人じゃないでしょ?あなたはとっくに気づいているわ」


その言葉に目を大きく見開いたフリード


ミラの言葉によって、今までのフェアリーテイルで過ごしてきた日々がフリードの脳裏に次々と浮かび上がった



「一人の人物に依存する事の全てを悪だとは思わないけど、あなたのまわりにはたくさんの人がいる」


ミラが言葉を紡ぐたび、フリードの口元が震えていく


そんなフリードの手を両手で包み、優しく微笑んだミラが言う



「ほら、手を伸ばせばこんなに近くに・・・一人が寂しいと気付いた時、人は優しくなれるの」


ミラの青い瞳には涙が浮かんでいた


先ほど感じた恐怖とは違う、その涙には優しさと温かさが込められていたのだ



フリードの目が潤む


歯を食いしばり、見開いた瞳でミラを見据える




「あなたはそれに気づいている」


そう言われた次の瞬間、フリードの瞳からは涙がこぼれおちる



「うぐっ・・・うぅ・・・」


嗚咽を漏らし、手で瞳を塞ぎ泣き始めたフリード



「こんな事・・・したくなかっ・・・たんだ・・・」


「うん・・・わかってるよ・・・来年こそは一緒に収穫祭を楽しもっ」


魔人の時の強面からは想像もつかない程の柔らかな笑顔をフリードへ向ける


そんなミラを遠くから見ていたアルトたちは笑顔を浮かべて言った



「かなわねぇなぁ・・・」



【フリードvs.ミラジェーン 共に戦意喪失】
















「ラクサスの居場所を教えてくれ」


涙を流すフリードにアルトが近付いて言う



「ラクサスなら・・・カルディア大聖堂にいる」


涙を拭いたフリードが立ち上がってそう言った


それを聞いたアルトが拳を合わせ、カルディア大聖堂の方へ体を向けると、不意にミラがアルトの腕をつかむ



「・・・ミラさん?」


「駄目よアルト・・・今のあなたがラクサスと戦ったら・・・本当に死んじゃうかもしれないわ・・・」


不安そうな表情のミラが声を震わせていう


アルトの身体には、エバーグリーンとの激戦で負った怪我に加え、ミラを庇いフリードに一方的につけられた傷が痛々しく刻まれていた



「今、ラクサスの元にはエルザたちが向かっているわ・・・アルトはこのままギルドに戻って傷を治した方が―――」


ミラが言葉を発する途中、アルトがミラの手を優しく払って言う


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