怪物祭2
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「お、発見!」
東のメインストリートを暫く駆けたところで、漸く獲物の一匹を視界に捉えた。
先程、何か光が見えたような気もしたが、別に気にする必要もないかと思い、意識を前方のモンスターに戻す。
ソード・スタッグ
ダンジョンの二十階層よりも下の階層で出現する牡鹿のような姿をしたモンスターだ。
ゴブリンならともかく、上級冒険者が相手にするようなモンスター相手に、只の木の棒を使うというなら俺だって心もとない。
だがしかし、今俺が持つこの木の棒は魔法【ナイト・オブ・オーナー】により、強化され、そして宝具となった立派な武器だ。
あれ程度なら、この武器で十分にやれる。
赤黒く染まった木の棒を肩に担ぎ、加速。
あちらさんは接近する俺には気付いていないようで、余所見の真っ最中だ。
「オッラァッ!」
『バフッ!?』
担いでいた武器を渾身の力で降り下ろす。 狙いは首筋。
これが【物干し竿】であったなら、首を斬り落とす結果になっていたはずなのだが、俺の持つこれは刃のない殴打武器、鈍器だ。
降り下ろされた棒がソード・スタッグの首筋を強打する。
一瞬、攻撃されたことに驚いたような鳴き声をあげたソード・スタッグだったが、次にはボキッという何かが折れる音が棒を通して伝わり、そのまま石畳へと頭を打ち付けた。
どうやら、死んだようだ。
なんと呆気ない
「……いや、考えてみれば当然か」
元は木の棒とはいえ、魔法で強化され、並みの武器よりも強くなった武器と俺自身の『力』のアビリティによる膂力。
そんなんで殴られたら、そりゃ普通は折れるか。
ちょうど、棒の先は尖っていたので、絶命したソード・スタッグの胸をついた。
何かを壊した感触が棒を通して伝わり、灰となる。
「さて、次は……っ!?」
棒を担ぎ直して、他のモンスターを探すように周りを見渡すなか、突如、空からこちらに向かって飛来する何かが飛んできた。
慌ててその場から飛び退き、棒を構える。
「……あれ? モンスターは?」
現れたのは金髪金眼の女。
そいつは首をかしげ、何かを探すように周りを見渡していた。
……いや、言葉からして、今俺がやったソード・スタッグを相手にしに来たんだろう。
都市最強の一角として名高い女剣士。
【ロキ・ファミリア】所属のLv5
【剣姫】、アイズ・ヴァレンシュアイン
「……ソード・スタッグなら、さっき俺がやっておいた」
どうやら、俺を狙って飛んできた訳ではなさそうだ。
とりあえず、棒を構えるのを止めて、歩み寄る。
「……えっと、この前の……」
「お、【剣姫】に覚えておいてもらえるとはありがたいな」
実際、【ロキ・ファミリア】の面々と顔を会わせたのは、前の酒
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