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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第三四話 忠信
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私には、離別を胸に、忘れずに、誇りとして生きることしか許されていないのよ。
 だから貴女はずっと苦しみなさい―――復讐されないってことは、永遠に許されないってことなんだから。」

 背を向け、彼女は言う。
 静かでいて苛烈な気を背負う彼女の背はどこか寂しさを含んでいる。斯衛の軍人として彼女が目指し憧れた理想であり続けるためにそれを見せず。

 それでもきっと、全部が終わったとき彼女は人知れず涙するのだろう。
 愛しき妹分の死をそこで初めて悼むことが出来る。斯衛の軍人としての責務を終えた時初めて……


「―――ありがとうございます。」


 唯依は背を向け去っていく彼女に礼を言う。
 心は自由でもいい、しかし自分は篁の頭領で、あの人の妻となるのだ。当然、それに相応しい身の振り方というものがある
 本当に愛しているのなら、彼が妻と誇れる自分になろう……嫉妬もしてもいい、寂しがってもいいだろう。
 だけど、自分が妻として誇ってもらえるような女に先ずはなりたい。

 それに気づかせてもらった。


「まだまだ未熟だな、軍人としても女としても……。」

 いつの間にか驕っていたのかもしれない。
 彼の愛情が永遠に自分のものだと思い込んで、我がままになっていたのかもしれない。―――自分の物だった筈のものが他人に盗られたと感じたから嫉妬という怒りを感じたのだろう。

 愛は移ろいやすいものだ。永遠なんてない。
 自分が彼に愛を注ぎ続けても、だから愛を下さいとは口が裂けても言ってはならない。対価を要求した時点でそれは愛じゃない。愛とは相手を思いやる感情だからだ、ある意味には殉教の道にも似ている。
 だけど、その道を苦労と思ってしまうのなら恐らくきっと……自分には人を愛する資格が無かったという事なのだろう。


「……お母様もこんな気持ちを乗り越えてきたのかな。」


 再び一人になった待合室で唯依は誰かと伴に生きることの難しさを噛み締めるのだった。







「―――なかなか損な性格だな。」
「聞いていたのですか大尉。」

 待合室を出たところで不意に声を掛けられる。声の方に視線を向けると其処には自身の警護対象となった隻腕の青き軍服を纏う斯衛が一人。

「唯依の様子がおかしかったのは分かっていたからな、どうしたものかと考えていたんだが、己ではあまり意味がないと思ってな。」

「………別に彼女を気遣った、とかそういう気は毛頭ありませんから。」
「そうか。」

 青を纏う斯衛……忠亮はそんな様子の彼女に微苦笑を漏らす。

 死者に罪悪を感じる、よくあるサバイバーズ・ギルトの一種だ。アイツが必要以上に自身を卑下する傾向にあるのはそれが起因の一つであろう。
 そして、
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