第4章
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青山涼子殺害で逮捕します。」
ペンを置いた龍太郎は井上から渡された逮捕状を読み上げ、井上の手錠を又掛けた。
「なんで二個も掛けんだよ!初めて見たわ!二連の手錠とか!」
「此方が公務執行妨害罪の手錠で、掛けたのは私です。此方は殺人罪での手錠で、掛けたのは井上です。」
「いっひっひ、御前、手錠好きだろうがよ、いっひっひ。良かったな。アーティスティック!」
「クリエイティブな逮捕だ、素晴らしい。」
「大好きだけど、二個も要らないよ!」
「ほんじゃぁさ、龍太、そっち持って、俺、こっち持つから。」
繋がっていた左右の手を右と左で分け、二人で持った。
「お、此の逮捕の仕方斬新じゃね?良いね良いね、龍太と一緒に逮捕したーって感じ。」
「犬の散歩みたいだ。」
「此の儘連れてって良いぜ。」
左右手首其々に手錠を掛けられるセイジの姿に、係官はたじろぎ、何方か一本にして頂けませんか?、と当たり前だが頼まれた。因みに、龍太郎が持つ手錠は“公務執行妨害”で、井上が持つ手錠は“殺人”である、当然井上の方を係官は選んだが、公務執行妨害だぞ!、と龍太郎に怒鳴られた。
「警察舐めてるのか!」
「舐めるのは女の股間だけにしようぜ。」
「こんな馬鹿げた逮捕の仕方あるか!」
「あっあー、タキガワ、今のは威力業務妨害だぞ。言葉の暴力!」
「馬鹿とか云われたー、名誉毀損!」
「なあ、さっさと連れってってくれないか?頭がおかしくなりそうだ、此の刑事達と居ると。」
係官は引き攣った顔で龍太郎の方の手錠を外し、井上の持つ手錠を左手首に掛けた。気に食わない龍太郎は係官を睨み付け、貴様一週間覚えておけよ、会う度睨み付けるからな、と脅迫した。
「本郷さん、見て下さい、綺麗になりましたよ。」
「むっちゃかわえぇ、わらびかわええ!」
「きな粉ですよ、彼女は。わらびは偽名です、錯乱させる為の。」
本来の姿に戻った猫を、血塗れのスーツ姿で嬉しそうに抱く加納に、頭がおかしくなりそう、と笑う秀一の声が廊下に響いた。
「俺、こんな集団に捕まったのか…」
優秀なのか違うのか、手首に伸し掛かる重さにセイジは項垂れた。
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