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猫の憂鬱
第4章
―5―
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んぞ。」
綺麗に撮れた、と井上に見せ、バッチリ、とプリンターに転送させた。
「一寸派手に生き過ぎたな、タキガワさんよ。弟みたく大人しく生きてりゃ良かったのに。」
「嗚呼、汚らわしい!」
セイジの手を叩き捨てた加納は、汚らわしい、と云いながら、セイジの両目を指で突いた。破天荒な加納の行動に課長は思わず笑い、龍太郎はぽかんと眺めた。
「何やってんの、御前。其れ、痛いぞ、絶対。」
「貴方の目が見えなくなれば良いのに、そうは思われませんか、木島さん。」
いきなりの急所攻撃に椅子から滑り落ちたセイジを、加納は必要な迄に攻撃した。
「何と野蛮な方、恥を知りなさい、恥を。」
野蛮なのは一体何方なのか、猫に対する私怨でいきなり目を突く加納の方が野蛮では無いのか、顔が気に食わないというだけで警視総監の顔面を殴り付け降格した男である、此の行動は納得行った。
「木島、止めろ。」
課長の命令だが、動きたくなかった。猫を抱いた儘、被疑者の目を攻撃する男に等関わりたくなかった。飽きれば勝手に止めるだろう、位にしか思わなかった、龍太郎達も同じ思いである。結局飽きたのか、加納は何事も無かったかのよう立ち上がり、きな粉、きな粉、と血塗れの猫と戯れた。
「そんな野蛮な方と同じ空気等吸いたくは御座いません、失礼します。」
攻撃された目元を手で覆うセイジの尻を蹴った加納は其の儘取調室を出、血塗れの猫プラス血が移った加納の姿を見た八雲の声がした。もっと言う事あるだろう?と云いたいが、八雲の口から出たのは、うはぁ、デッカイ猫、だった。
洗いましょう八雲君――そうしましょ、そうしましょ。
マイペースな二人に溜息を飲み込んだ龍太郎はセイジを座らせ、公務執行妨害の現行犯です、と手錠を掛けた。
「え?其れ?」
「今は、です。此の取り調べが終わったら、青山涼子殺害で再逮捕します。」
「青山涼子殺害の逮捕状、未だ出来上がってねぇんだわ。現行犯の方が優先順位上だから。」
ヘラヘラ笑い、井上は云った。
「公務執行妨害って何だよ。」
「警察に手を出したら、公務執行妨害です。」
「じゃああの猫好き野郎は傷害で現行犯逮捕だろうがよ!瞼切れたぞ!?尻も蹴られた!」
セイジの訴えに龍太郎は首を傾げ、傷害?何の話です?、とすっとぼけ、御前何か見たか?――いんや、木島さんは?――能面がワタクシ悪趣味!ベンツは悪趣味なのですよ!と等々認めたって話?、と流した。
「課長は?」
「んー?取調室の血を見てたから一寸良く判らん。木島、暇だろう、掃除しとけ。」
「え、やだよ、鑑識呼んで来る。」
そう云い、木島は取調室を出た。サラサラと調書に公務執行妨害の内容を書く龍太郎を、マジックミラーで一連を見ていた秀一は笑い転げた。
「タキガワさん。」
「なんだよ!」
「逮捕状、出来ましたので、
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