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魔法少女リリカルなのは 異形を率いる男
9.動揺
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物なんです。渡してはくれないですか?」

 細長い体をした小柄な動物であるフェレットが発した言葉だった。
 通常から考えれば異常な事であるはずではあるが、魔法の存在することを知る者であれば、それは異常では無く、通常な事として認識される。
 だが、得体のしれないフェレットがそれは僕のですから渡してくれませんと言って渡すようなお人好しはそうそう居ないだろう。
 その上、後ろからついて来た人間が年端もいかない少女であることが信憑性を恐ろしく下げている。
 確かに夜市は真実を知っていが、それだからと言って渡すような人間ではない。

「誰が、得体の知れないフェレットに『それは僕のものですから渡してください』と言って渡すような奴が何人いると思う?」
 
 夜市は溜め息交じりにそう言う。

「それでも、僕の考えが正しければ、あなたは僕がこれを集めている事を知っているんじゃないんですか?」

 一瞬、コンマ一秒にも満たないほどの時間だが、確かに夜市は動揺した。
 正直、意外だったのだ、ばれている事が、必死に逃げていた事やなのはの潜在能力の方に気が行き此方の方にはそこまで気が行かないと思っていたが、誤算だったようだ。

「やっぱり昨日、僕たちを見ていたのは貴方だったんですね」

「まあ、それが分かったところで、こちらに渡す気は無いがな。今日はこのあたりで帰らせてもらおう」

 夜市がそう言った直後、その体は霧散するかの様に何処かに消えてしまった。
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