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呼ぼうと。オレは『正義の味方』であっても、決して『英雄』なんかではなかったさ」
いったい何を。
アーチャーは、少なくとも私から視たら、十分『英雄』であったというのに。
その言葉には、謙遜も自嘲も、否、何の感情も含まれていない。
ただ事実を述べているようだった。
「私の過去を覗いたのなら分かるだろう。正義の味方とは、絶対の裁定者。何かを、誰かを想うなぞ、あってはならない。それが答えだ」
「いいか、ルイズ。『英雄』は人を救う者。『正義の味方』は人を殺す物。この身は、守れた事はあったとしても、救えた事など一度もない。私は、正しく『正義の味方』だった」
「まあしかし、私が守っていたのは人だったのか理想だったのか。最期を視たなら、判断は容易だろう?」
ならば、アーチャーにとって私の疑問の答えは一つだ。
アーチャーは、けれど困った顔をしながら続ける。
「だがそれはかつての『私』の話。今、私は君に仕えるただの使い魔にすぎない」
それは一つの選択肢。
右手に宿る、最後のチカラ。
でもそれは……。
「マスター。私の『今まで』を気にする必要はない。彼は既に死んだ身。その生き方に罰せられる罪が有るのなら、それは彼だけの物であり、裁かれた結果もあるだろう」
「そういうわけだ。幸いまだ時間はある。どうしたいのか、じっくり考えてみるといい。定まらないのなら、余りお勧めは出来ないが、流されるのもいいだろう。なに。どんな障害があろうと、御命令とあらば私がなんとかするさ」
ご主人様を守るのが、使い魔の仕事だろう?
そう言って、彼は姿を消した。
疑問に対する答えは出ない。
でも、一つ気がついてしまった。
こんな話、するべきでは無かったのかもしれない。
『英雄』は人を救う者だと、アーチャーは言った。
でもきっと、其処には言葉が足りないんだ。
そう、『英雄』はどんな時だって『自身の意思で』人を救う者。
最早摩耗した彼にとって、こんな選択肢などきっと意味はない。
その上で、私のためにわざわざこんな話をしたのだろう。
なんてお人好し。
そうであるからあの『理想』を抱いたのか、『理想』が彼をそうしたのか。
私に分かる術はない。
だけど。
「本当に、バカ……」
これは、掛け値なしの真実だろう。
――――――――――――
「おはよう、マスター」
「おはよ、アーチャー」
そういえば、とアーチャーが続ける。
「誰が言っていたか。自分以外の誰かを救いたいと望むなら、せめて笑って救いに行けと。共有するのは苦でなく楽を。マスターにとっても、そうであるといいものだな」
こいつは。
変なところで気
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