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。
どうして彼らは笑っていられるのか分からない。
「ルイズ。何を感じているのかは分かるが、取り敢えずは任務を続行したまえ。誓ったのだろう?」
!
そうだった。
手紙を回収しないと。
――――――――――――
「これが件の手紙だ」
そう言って殿下が取り出した手紙は、随分くたびれているようだった。
まるで何度も何度もその手に取って読み返したように。
「この通り、確かに返却した」
「ありがとうございます」
これで取り敢えずひと段落。
でも、私には言いたい事がある。
「殿下。王軍に勝ち目は無いのでしょうか」
「ない」
即答。
最早訪れる結果に議論の余地さえない、と。
「無いんだ。大使殿。我が軍は三百、敵軍は五万。我々にできることは、勇猛果敢な死に様を、連中に見せることだけなんだ」
「亡命を」
「何だって?」
「亡命なされませ、殿下!私達と共に、トリステインに参りましょう!」
私がそう言うと、困った様な、でもどこか嬉しそうに彼は首を横に振った。
「出来ない」
短い返答は、ただ拒否を。
明確な意思だけがそこにあった。
「殿下!きっと!姫様からの手紙には、きっとあったはずです。亡命を勧めるお言葉が!」
「ルイズ」
ワルドは黙ってて!
「ありがとう。可愛い大使殿」
にこりと微笑むと、彼はそれ以上このことで語るつもりはないというように、大きく息を吐いた。
「さあ、もうパーティーの時間だ。君達は明日、戦いが始まる前にフネで送り届ける予定だ。ぜひ、今日は参加して行ってくれ。我が勇敢な仲間達も、きっと喜ぶ」
――――――――――――
私のこの思いは間違いなのだろうか。
明日には勝てぬ戦いがある。
死が決まっているのに、笑う彼等が理解出来ない。
愛する人が生きて欲しいと願うのに、死を選ぶ事が理解出来ない。
悲しむ姫様を思うと、手紙を読んでいた時の殿下を思うと、この結末に納得出来ない。
「アーチャー」
「何かな」
いつもと変わらぬこの使い魔はいったいどう思っているのだろう。
「教えて」
「私に思うところは、ない」
「教えてよ。だって貴方は『正義の味方』、みんなが憧れる『英雄』なんしょう!? こんなことだって経験があるんじゃないの!?」
ああ最悪だ。
なんで私は自分の使い魔に八つ当たりなんかしているのだろう。
アーチャーは少し驚いた顔をした後、小さく笑った様だった。
「どちらもその通り。確かに私はソレだったのだろう。もう、余り覚えてはいないのだがね」
怒った風もなく、アーチャーは静かに語る。
「だがマスター、誰が私をそう
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