暁 〜小説投稿サイト〜
パンデミック
第六十九話「選んだ禁忌」
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
―――【レッドゾーン“エリア27”旧市街】


「これは……どういう状況だ?」


アクエリアスを追いかけて旧市街に来たタガート達は、目の前の光景に圧倒された。

周囲に立ち込める土煙。
粉々に砕けた瓦礫の山。

身体中血で染まった白いトレンチコートの女とアクエリアス。
ボロボロの身体で呆然と立ち尽くすクレア。



千切れたアクエリアスの右足と、トレンチコートの女の左腕を掴んだブランク。
赤黒く変色した眼を見開き、ぶつぶつと何かを呟いている。
正気ではないのは、誰の目から見ても明らかだった。

「まさか…暴走したのか?」

タガートの呟きに誰も答えない。
答えは分かりきっているのだから。



だが、「暴走」の方がまだマシだったかもしれない。
















―――15分前





ブランクはレオとの戦闘を終え、本来の目的であるクレアの救出に向かおうとするが…

「グブッ…ゴフッ…!」

赤黒い血反吐を吐いた。
無理やりコープスを活性化させ、限界を超えて戦ったのがまずかった。

「クソッ……まだだ…ここで、倒れるわけには………ッ!」

あの適合者の余計な介入がなければ。
ブランクは殺した適合者を一瞥し、心の中で毒づく。

「ハァ…ハァ…くそ……どうした…俺の脚を治せるくらいの、力があるんだろ……もっと力を寄越せ…」

自分の体内にあるコープスにも毒を吐く。
自身の一番の長所であるコープスが機能しないのが悔しい。

「(体の修復と運動機能のサポートでエネルギーを消費したか……自然にコープスが力を取り戻す
までどのくらいの時間を要するんだ?)」

朦朧とした意識の中で、ブランクは必死に状況を改善させる方法を模索した。
考えることを止めたら、自分も仲間も死ぬ。
しかし、いくら考えようと状況が好転する方法は浮かばない。

エネルギーを消費したコープスが自然回復するまで待つ暇はない。
かと言って、今の体たらくでは適合者はおろか、突然変異種にすら負けるかもしれない。


「(何か……何かないのか…瞬時に回復する方法は…今すぐ戦う力を取り戻す方法は……)」





その時、ブランクの頭に、一つの可能性が浮かんだ。

ブランクが注目したのは、先ほど殺した化け物の残骸。





…………こいつはコープスを硬化させる能力を持っていた。

ということは、高濃度のコープスを保持していたということだ。



……こいつの残骸を喰えば、コープスを摂取できるかもしれない。




そんな考えが浮かんだが、さすがにブランクも実行するのに戸惑いがあった。

「は
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ