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流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
45 自分と向き合うこと
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、ただ分かるのは自分が普通の人間ではない怪物ということだけ。
それがどれほど恐ろしいことか理解できるようになった時から考えるのを止めた。
自分に興味を無くし、それを埋めるように夢中になれるものを探した。
その結果が今の自分だった。

「とりあえず、ありがとうと言っておくよ。でも君は僕が嫌いだろ?どういう風の吹き回しなのか…」
「そうね。でも私はあなたの才能と能力だけはちゃんと評価しているつもりよ。あなたの皮肉の仮面に隠れたその本性もね」

ハートレスはゆっくりと立ち上がる。
彩斗は微妙な気分だった。
本当の自分をちゃんと見ていてくれる反面、全て見透かされているような気がしたからだ。
ハートレスというのはこういう人間だということは理解している。
全世界の食えない人間の代表という言葉が似合うほど食えない上、いつも見透かしたような態度で接してくる冷たい女。
しかしそれは表面上だけでちゃんと人間らしく血が通った人間だということも知っているつもりだった。
ハートレスは風が吹き込み、カーテンが揺れるベランダの方へ向かう。

「…ねえ、久しぶりに聴かせてくれる?」

「冗談だろ?」

ハートレスがカーテンをめくると、開放的なベランダが広がっていた。
ちょうど玄関の天井の部分に当たるのだろう。
星空を眺めるには方角も立地も完璧、ちょうどデンサンシティのデートスポットで有名なデンサンタワーの展望台にも勝るとも劣らない眺めだ。
むしろ閑静なマンション街な分、2人きりの時間を過ごしたいカップルにはウケが良いかもしれない。
しかしちゃんと雨が入ってこないように
そして、そんな雰囲気を演出するようにベヒシュタインのピアノが月明かりに照らされ黒く輝いてた。


「僕に弾けって?なぜ?」
「あなたの演奏を最後に聴いたのはもう3年近く前かしら」
「理由は?」
「言ったでしょう?私はあなたの才能と能力はちゃんと評価してる。私もあなたの魅力の一部に取り憑かれた人間の1人ということよ」
「やめてくれ、さすがに気持ち悪い」
「勘違いしないでよ?あなたの演奏が気に入ってるだけ。別にあなたのことが好きなわけじゃないわ。そこの2人と違ってね」

「「!?ッ…」」

「昔はよく弾いてたでしょう?パソコンで悪い遊びを覚える前は、喧嘩したり、辛かったり、何かある度にやることは読書かピアノ。自分を見つめなおすには時に童心に戻ることも大切でしょう?」
「…そうだね。それにしても、よく覚えてるものだ。僕も忘れてたのに」
「誰もいなくなった後の部屋で誰に教わったのか、心を落ち着かせる為により良い音を鳴らそうと夢中になることで嫌なことを忘れようとしていた。悲しい顔で、酷い時は泣きながら何時間も何時間も。それを初めて見つけた私はこう言った…」

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